はしがき
さて、DTL後期も終盤に差し掛かってきた。まずは得点状況を整理してみよう。

第4節終了時点ではFTGが首位に立ちながらも、2位魔王軍とのポイント差はわずか3。リーダー戦を考慮すると、まだまだ安泰とは言えないポイント差だ。
逆に、SAGAはポイントで大きく引き離されており、逆転のためには残り試合を全勝する勢いが求められる状況だった。
こうした状況の中、各チームの戦略も変化を見せた。
FTGは首位キープを盤石なものにするのか、それとも攻めの姿勢を貫くのか?
魔王軍は追い上げに向けてどんな一手を打つのか?
そして、崖っぷちのSAGAは大逆転の可能性を見出せるのか?
勝負の行方を大きく左右する第5節。各チームがどんな戦いを繰り広げたのかを、試合結果とともに振り返っていく。
後期第5節ルール

第5節はほぼガチンコのアドバンス。
同名カード4枚制限によって全てのデッキに《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》等の汎用超次元をフル投入できない等の制限こそあれど、基本的に別々の強いデッキタイプを3つ持ち込むことがベターな選択肢だと言えるだろう。
だからこそ、このルールで戦うDTLは非常に難易度が高い。
前期第2節のアドバンスでも同様だったが、強力なデッキを3つ持ち込める形式では、トッププレイヤー同士の実力差を可視化するのが難しくなる。
なぜなら、彼らはすでに環境の最適解を熟知しており、使用するデッキに大きな差が生まれにくいからだ。
さらに、各チームが異なるタイプのTier1デッキを用意する可能性が高く、それに一貫して有利なTier2以下のデッキを見極めるのも至難の業となる。
デッキパワーを意図的に落とすことはリスクが高く、普段から研究されているフォーマットで新たなアーキタイプを発掘することも容易ではない。
しかし、そのリスクを取らねば下位チームの逆転は難しい……。
この厳しい環境のなか、各チームがどのような選択をしたのか、その結論を見ていこう。
解説のすけ選手執筆の事前予想記事もチェック!
FTG
るるる【闇単XENARCH】
魔王軍
カイザ【マーシャルデリート】
りっきー【闇単XENARCH】
◆ドラ焼き【水闇自然ボウダン=ロウループ】
SAGA
マイケル【水自然ジャイアント】
にわか【マーシャルデリート】
ZweiLance【火光自然ドラゴン】
所感
まず目を引くのは全チームが採用した【マーシャルデリート】。
明確な不利対面となる【闇単XENARCH】もこのルールにおいては当たる確率はどれだけ見積もっても33%。それさえ回避できれば強力な選択肢となるという点でこのデッキを有力と判断したようだ。
先述の通り各チームが似たような結論に至るかと思われたが、【マーシャルデリート】を除くと、それぞれのチームの個性が際立つデッキ選択となった。
FTGはこの環境におけるTier1のデッキを3つ用意。
【マーシャルデリート】の《獲銀月 ペトローバ》や【BAKUONSOOO】の《魔力妖精バーベナ / 「これは…失われし記憶」》など、細部のチューニングには個性があるものの、「強力なデッキの性能を最大限に引き出せば勝てる」というチームの思想が色濃く表れている。
また、首位という順位状況もこの選択を後押ししているだろう。存在するかわからないソリューションを発掘するよりも既存デッキの精度を上げる……そういった無難な選択こそ今節のベストと判断したのだろうか。
1位との差を詰めたい魔王軍は「強いデッキを使うだけでは勝ち越しは見込めない」と判断し、◆ドラ焼きがオリジナルデッキを作成。
水闇自然の安定した基盤に加え、広範なメタカードを分散配置することで、DTLのプレイヤーに対し”初見殺し”を仕掛ける意図が見て取れる。
順位状況で後れを取っているSAGAはここで勝負手。最強と目された【闇単XENARCH】を採用せず、地上戦に強い【水自然ジャイアント】と【火光自然ドラゴン】を選択。
アドバンスに精通し、地上戦を得意とするマイケルの影響が感じられるデッキ構成だ。最下位からの脱却を図るSAGAの作戦は、果たして功を奏するのか。
クイックカバレージ
第1戦:はるる vs. カイザ
先日終了した2024年度後期DMPランキングにて全国大会の出場権を獲得しているカイザ。拠点・関西から離れて関東遠征を行い、激化の一途を辿るポイントレースを制することに成功した。
そんな彼がCS会場を駆け回る中、はるる vs. カイザのマッチアップもまま起きたとのこと。ほぼ負けていたと語るはるる、DTLの大舞台で雪辱を果たせるか。
《禁断 ~封印されしX~》設置に《煌銀河最終形態 ギラングレイル》チャージで【マーシャルデリート】使用を窺わせるカイザに対し、はるるは2ターン目から《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を送り込む。≪星龍の暴発≫を機能不全に陥らせる的確なメタカードだ。
しかし、令和の【マーシャルデリート】はその程度では止まらない。《T・T・T》《終止の時計 ザ・ミュート》ではるるがドローを進めている間に、カイザは《キール・ロワイヤル》を連続でプレイ。召喚酔いが解けたところでハイパー化して攻撃、メクレイド。

はるるの《禁断 ~封印されしX~》採用についてはチーム内でも意見が分かれたようだが、ここでは裏目を引いてしまった。
駆け付けた《マーシャル・クイーン》効果で3枚シールドゾーンに置いてそのまま回収、《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》+≪星龍の暴発≫!
《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》で2コストを指定して《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を無効化。枷の外れた≪星龍の暴発≫で≪暴発秘宝ベンゾ≫を投下し、《キール・ロワイヤル》でチェックしたシールドを裏返す———当然のごとく、《オールデリート》。
ランキング争い突破の勢いそのままに、カイザ快勝。首位奪還に向けて魔王軍が先制点を獲得した。
WINNER:カイザ
第2戦:るるる vs. りっきー

高難度の【闇単XENARCH】ミラーマッチを前にしてもりっきーは通常運転。「今日のアイテム」として取り出したのは”銀河覇王”けみーのサイン入り《滅亡の起源 零無》である(詳しくは「宇宙UDB」を見てね)。画面越しにも怪しげな一品だが、その御利益はいかほどのものか。
両者1・2ターン目を下準備に充て、小型クリーチャーを並べつつ墓地を肥やしていく。ここで双方の墓地に《死神覇王 ブラックXENARCH》が見えた。
一見横並びに見える状況だが、こうなると先手のアドバンテージが大きい。先攻るるるは《無限皇帝の顕現》で《復活の儀》をクリア。《霊淵 アガルーム=プルーフ》ハイパー化と《緊縛の影バインド・シャドウ》でタップ状態のクリーチャーを3体並べ、これらを生贄に《死神覇王 ブラックXENARCH》降臨まで持っていく。
この先行着地がミラーマッチの要。りっきーの盤面は更地に戻り《死神覇王 ブラックXENARCH》が大きく遠のく。さらにるるるは《手札の儀》《破壊の儀》まで達成し、いつでも《零龍》卍誕が可能な状態を作ってターンエンド。
りっきーも必死に立て直す。《破壊の儀》をひとまず達成し、《無限皇帝の顕現》で《復活の儀》も消化。るるるの《緊縛の影バインド・シャドウ》を逆利用し、《死神覇王 ブラックXENARCH》に漕ぎつけた。
同時に《手札の儀》も達成。出目こそ《暗黒の騎士ザガーン GR》と噛み合わないが、残るは《墓地の儀》のみ。墓地には既に8枚以上のカードが眠っており、1枚でも増えた瞬間に《零龍》が成る。
無論るるるがそれを黙って待つはずもなく、ゲームエンドに向け舵を切る。《墓地の儀》をリンクさせて《零龍》卍誕、あまつさえトップデッキの《深淵の文暴具 ケシカス=カース》でりっきーの墓地を0枚に。そのままワールド・ブレイク!
ここからでも《逆転の影ガレック》9枚肥やしなどが絡めば《零龍》カウンターの目があるのが【闇単XENARCH】の恐ろしさ。祈りながらりっきーの反応を伺うるるるだが……
りっきーの構築は《悪夢神バロム・ナイトメア》1枚に守りを託した超攻撃型。故にシールドからの《逆転の影ガレック》は無く、そして頼みの綱《悪夢神バロム・ナイトメア》もまた、姿を現すことはなかったのだった。
WINNER:るるる
第3戦:村井 vs. ◆ドラ焼き
アドバンスフォーマットならではの儀式がある。対戦前に互いの超次元ゾーンを確認しあう、15年前の「覚醒編」発売から続く由緒正しき伝統文化だ。

そして、◆ドラ焼きのデッキはこの段階から異彩を放っていた。《次元のスカイ・ジェット》3枚に《次元のイモータル・ブレード》2枚。単なる「見せ次元」にしては異様なチョイス、しかしそうでないとして、果たしてこれらを活かすデッキとはどのようなものなのだろうか。
その真意は早くも3ターン目に明らかになる。2ターン目≪オリジナル・ライフ≫から繋いでの《アクア・ジゲンガエシ》召喚、《次元のスカイ・ジェット》……の裏側、《次元のモビル・フォレスト》をバトルゾーンへ!その効果は非クロス時に味方の召喚コストを1下げるというものだ。
とはいえまだ全貌は見えず、村井が本領発揮を待つ道理もない。4ターン目、先んじて設置した《キール・ロワイヤル》を進化、《マーシャル・クイーン》!
これが≪星龍の暴発≫2枚と≪アクア・スペルブルー≫をトリガーさせ、さらには≪暴発秘宝ベンゾ≫から《煌銀河最終形態 ギラングレイル》!
惜しむらくは村井の超GRがジョーカーズを軸に編成されており、即時ワンショットキルが不可能であったこと。出目が《オールデリート》であれば一撃でケリがついていた。とはいえ切り返せなければ余裕でリーサルである。
が、◆ドラ焼きは動じず。《流星のガイアッシュ・カイザー》で逆転の狼煙を上げる。まずは《飛翔龍 5000VT》でGRクリーチャーを叩き返し、そのまま《超暴淵 ボウダン=ロウ》召喚!
《流星のガイアッシュ・カイザー》4軽減+ハイパーエナジー4軽減+《次元のモビル・フォレスト》1軽減の合計9軽減、わずか1コストで着地した。
《超暴淵 ボウダン=ロウ》から《天災 デドダム》らを蘇生してデッキを掘り進めつつ、《ヘームル・エンジオン》で《超暴淵 ボウダン=ロウ》自身を手札に戻して再利用。《煌銀河最終形態 ギラングレイル》すら霞む勢いで盤面が伸びていく。
最終的に◆ドラ焼きは《アクア・ジゲンガエシ》から《次元のスカイ・ジェット》を展開、道中に実質ノーコストで召喚していた《轟廻!グランドスラム・スコーピオン》で攻撃。序盤からマナゾーンで待機していたコンボの核、《百発人形マグナム》を持ってくる。
さらには《超暴淵 ボウダン=ロウ》で攻撃して《ヘームル・エンジオン》を呼び出し、《カット 丙-二式》をGR召喚して村井の最後の応手《ホーガン・ブラスター》を無慈悲に落とす。《百発人形マグナム》効果でアタックキャンセルすることも忘れない。

ターンこそ返ってきた村井だが、《飛翔龍 5000VT》下ではなにも出来ずチャージエンド。◆ドラ焼きのループ証明が始まった。1コストで《超暴淵 ボウダン=ロウ》を召喚し、《ヘームル・エンジオン》を出して《超暴淵 ボウダン=ロウ》を手札に戻す。
同時に踏み倒した《轟廻!グランドスラム・スコーピオン》でマナが起き上がり、《冥土人形ウォカンナ・ピエール》が相手の山札を1枚削る。ここに《百発人形マグナム》が組み合わさることにより、好きなだけこれを繰り返すことが可能となる。
◆ドラ焼き謹製の新デッキ、【水闇自然ボウダン=ロウ】が堂々のデビューを飾った。ティラミスだろうと秘匿デッキだろうと絶品に仕上げてみせる、これが最強位だ。
WINNER:◆ドラ焼き
第4戦:マイケル vs. はるる
追い上げに全霊を注ぐSAGA、先鋒からアドバンスを大の得意とするマイケルを惜しみなく投入。対するFTG・はるるはやや気圧され気味ではあるものの、ポイントレースが切迫する中では一試合たりとも落としたくないところ。
ゲーム序盤はマイケルが《ベイB セガーレ》《キャディ・ビートル》《アシステスト・シネラリア》と防衛線を展開。《頂上混成 BAKUONSOOO8th》を意地でも通さない構えである。はるるはひたすらドローソースをプレイ、手札を回す。
マウントを取ることに成功したマイケルだが、マナが伸びればロックが解けてしまう都合上早期決着を目指さざるを得ない。後手4ターン目から攻撃を開始するが、1点トリガー≪ド浮きの動悸≫がその出鼻をくじく。
攻める【水自然ジャイアント】を【火光水BAKUONSOOO】が受ける、あべこべな応酬が始まった。はるるはジャイアントの中核ギミック・革命チェンジを封殺する《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を召喚。さらに《金天使 エン・ゴルギーニ》を添えて守る。
ブロッカーかつ《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》の種である《金天使 エン・ゴルギーニ》は無視できず、マイケルは《チアスカーレット アカネ》でこれを討ち取る。が、はるるはさらに《刀舞の3号 カツえもん》《金天使 エン・ゴルギーニ》を投下。
マイケルはここに《飛翔龍 5000VT》を当てるものの、それ以上のアクションを起こせない。この隙を逃さず《T・T・T》3体タップと《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》でバトルゾーンを制圧するはるる。気づけばマナは7枚、いよいよ臨界点だ。
追い詰められたマイケルはトップデッキに望みを託すものの、有効牌は引き込めなかったようで頭を抱えてターンエンド。
はるるのターン、まずはマナチャージして8マナ。一回目の《“必駆”蛮触礼亞》《頂上混成 BAKUONSOOO8th》こそ《ベイB セガーレ》が阻んだが、これで9マナに到達。今度こそ降り立った《頂上混成 BAKUONSOOO8th》が動き出し、数多のGRクリーチャーを伴ってマイケルを撃ち抜いた。

WINNER:はるる
第5戦:にわか vs. るるる
師匠マイケルの敵討ちに出撃するにわか。立ちはだかるるるるとは直前第4節でも対戦しており、なんなら魔王軍の対戦相手・りっきーまで前節と共通である。
るるるvs.りっきーの結果が前節ではりっきーWIN、先程はるるるWINだったことを挙げて、前回負けているるるる相手には自分が勝てる、という独自理論を展開する。……今思えば、これはにわかなりに自分を鼓舞していたのかもしれない。
なぜならば、にわかが使うのは【マーシャルデリート】。るるるの駆る【闇単XENARCH】にはデッキ単位で大幅に不利がついている。とにかく《死神覇王 ブラックXENARCH》が厳しく、《マーシャル・クイーン》の進化元を刈り取るばかりか《オールデリート》禁断開放が逆に敗北に直結する始末。
わずかな希望は先攻を掴み取ったことだが……2ターン目はクリーチャーを召喚できず、3ターン目もアクション無しと苦しすぎる展開に。
こうなると5マナまで耐えて《マーシャル・クイーン》即進化を決めに行くほかないが、るるるはそんな悠長を許してくれそうにもない。第2戦同様、3ターン目に《死神覇王 ブラックXENARCH》降臨の条件を達成させる。
しかもこれを自ターン終了時に蘇生せず、にわかの《キール・ロワイヤル》や《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》を牽制。一矢報いるべく≪暴発秘宝ベンゾ≫を召喚するにわかだが、ここは≪♥応援してくれるみんなが元気をくれ~る≫でドローするに留まる。

これを見届け、にわかのターン終了時に今度こそ《死神覇王 ブラックXENARCH》が降臨。《復活の儀》、《破壊の儀》も達成させて返すターンでさらに横展開。終了時に《死神覇王 ブラックXENARCH》2体目を用意してターンを返す。大量展開&破壊によってにわかの手札を0にした。
とはいえ【闇単XENARCH】が最後に殴るデッキである以上、まだにわかにもチャンスがある。まずはアビスラッシュ《ベル=ゲルエール》で1点……ここで《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》がトリガーし、1ターン分時間を稼ぐ。
しかし残る山札はわずかに5枚、るるるとしても通しに行くほかない。1ターン待って再度総攻撃をかける。《ベル=ゲルエール》の1点が通る。《死神覇王 ブラックXENARCH》が残るシールドを割り切り……S・トリガー、≪アクア・スペルブルー≫!シャッフルした山札からは《ホーガン・ブラスター》!

相互シャッフルを終え、にわか自身に山札下に送る枚数を選ばせるるるる。Vサインを突き出して2枚を下へ置き、祈りつつカードを捲ったにわかの運命は———
《キール・ロワイヤル》。逆転劇には至らず、ミスター・デュエチューブリーグが2連勝を持ち帰った。
WINNER:るるる
第6戦:ZweiLance vs. 村井
「デュエマ・スタート!」のコールが終わってカメラが切り替わると、ZweiLance・村井両者の超次元ゾーンが公開されていた。
前者が広げたのは《熱血星龍 ガイギンガ》に《超戦覇龍 ガイNEXT》、《最強龍 オウギンガ・ゼロ》から《爆熱王DX バトガイ銀河》まで……どこからどう見ても【モルトDREAM】な、ある意味この上なく「ZweiLanceっぽい」顔ぶれである。
村井は村井でわざわざシークレット版《超時空ストームG・XX》を用意してきたと思い入れを見せる。ドラグハートやサイキック、外部ゾーンのカードが通常弾のテーマから離れてずいぶん経つが……やはりその思い出と格好良さ、そして唯一無二の強さは色褪せない。
試合の立ち上がりは互いに緩慢なもので、ZweiLanceは《ボルシャック・栄光・ルピア》から《メンデルスゾーン》を捲ってしまい、続く5マナ域でも動きはなし。村井は《獲銀月 ペトローバ》からスタートするが、4ターン目は《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》。スプラッシュ・クイーンが動きに絡んでこない。
ならばとZweiLanceは≪炎龍覇 グレンアイラ≫を召喚して《獲銀月 ペトローバ》を討ち取り、 《銀河大剣 ガイハート》を装備して打点を準備する。
総攻撃の気配を感じ取った村井は《ホーガン・ブラスター》で一発逆転を狙うも、ここは《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》を唱えるに留まる。≪「助けて!モルト!!」≫警戒の5宣言をするが……ZweiLanceには既に、《夢双龍覇 モルトDREAM》に頼らない形のフィニッシュを見据えていた。
すなわち、《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》召喚から即攻撃、革命チェンジ≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫!村井の戦略の根幹、呪文が完全にストップする。

さらに山上からは2体目の《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》が駆けつけ、打点も申し分なし。最後は龍解した《熱血星龍 ガイギンガ》でダイレクトアタックを決め、チームを引っ張るリーダーの気概を見せた。
WINNER:ZweiLance
第7戦:カイザ vs. マイケル
マイケルは先刻のミスをしきりに反省している。「メタデッキ使いとしてプレイミスはあり得ない」と、厳しい制約を自らに課しているようだ。
気を取り直してマイケルは1ターン目《とこしえの超人》、さらに≪同期の妖精≫《アシステスト・シネラリア》と何重もの除去耐性をかけてカイザの展開を牽制する。
……が、全チームが《マーシャル・クイーン》デッキの中から【マーシャルデリート】を持ち込んだ理由のひとつ。それは《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》によって、生半可なメタを全て貫通できるようになったから。
それが、たとえマイケルがゲーム開始時に《オールデリート》メタである《禁断 ~封印されしX~》を設置していたとしても、だ。
カイザは《エメラルド・クーラー》2枚から先攻4ターン目に《マーシャル・クイーン》を着地させると、いわゆる「野生」の盾を含む3枚を回収。
その中には≪星龍の暴発≫+《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》……宣言した数字は、「99」!!

それが意味するところは、≪星龍の暴発≫で放たれるのはあらかじめ仕込まれていた《オールデリート》。
相手の《禁断 ~封印されしX~》ですら止まらなくなった完全無欠のフィニッシャーが、勢いそのままにマイケルを飲み込んでいった。
WINNER:カイザ
第8戦:りっきー vs. にわか
さて、2戦目がるるる、りっきー両名による【闇単XENARCH】ミラーマッチであるということは……にわかとしても、SAGAとしても絶対にやりたくなかった【マーシャルデリート】vs【闇単XENARCH】が2連続。
席順の運に恵まれなかったにわかだが……なんとここまで対りっきーには3-0中。対面相性を乗り越えるほどの人間相性を見せることはできるか。
試合は先攻のにわかが《エメラルド・クーラー》を着地させてプレッシャーをかける。
さすがの【闇単XENARCH】とはいえ、後攻2ターン目にこれを破壊する手段は少ない。しかし盤面に3枚並べた状態の《霊淵 アガルーム=プルーフ》を見るにつき、次のターンには《死神覇王 ブラックXENARCH》の効果で進化元を全滅させることなど、りっきーにとって造作もないだろう。
であれば、先攻3ターン目に決めるしかない。
にわかは意を決して《マーシャル・クイーン》を着地させ……仕込んだシールドの中から《ホーガン・ブラスター》《アクア・スペルブルー》!!
2度の発射チャンスを得たにわか。まずは《ホーガン・ブラスター》から……

《煌銀河最終形態 ギラングレイル》!!
しかもGRゾーンの中には《ポクタマたま》という【闇単XENARCH】の出鼻を大きく挫く1枚。これで一気ににわかが優勢に。
続いて《アクア・スペルブルー》が………

《煌銀河最終形態 ギラングレイル》すらもなかったことにする、《オールデリート》。
これがデッキ相性を超えた人間相性か……にわか、ここまでりっきーに土つかず。
WINNER:にわか
第9戦:◆ドラ焼き vs. ZweiLance
かつて《超戦龍覇 モルトNEXT》を駆使し、環境を席巻したZweiLanceが《夢双龍覇 モルトDREAM》をフィーチャーした【火光自然ドラゴン】を使用する――かつてのファンにとっては感慨深い光景だ。
しかし、近年ではむしろマイケルのイメージが強いデッキでもある。ドラゴンデッキ特有の爆発力と、《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》を用いた地上戦の強さを武器に、本人及び弟子のにわかがアドバンスのCSで結果を出してきた折り紙付きのデッキだ。
ZweiLanceは「環境デッキとめちゃくちゃ練習した」と語るが、対戦相手◆ドラ焼きのオリジナルデッキ、【水闇自然ボウダン=ロウ】は未だ全貌が見えない。
だが、第9戦までの時間を活かし、しっかりと対策を練ってきた。デッキの基盤が【水闇自然マルル】に近いため、広義では仮想敵として想定していた可能性がある。
ZweiLanceは後攻ながら《メンデルスゾーン》、《ボルシャック・栄光・ルピア》をどちらも成功させるロケットスタート。
それに対して◆ドラ焼きは≪オリジナル・ライフ≫⇒《アクア・ツバメガエシ》からの《次元のモビル・フォレスト》と追い縋るが……続くアクションが《百発人形マグナム》。これが踏み倒しを伴うデッキであれば有効な一手になり得たが、マナをしっかり支払う機構のZweiLanceのデッキにはイマイチ刺さらない。
そして、ZweiLanceにとってゲームの終着点は明快だった。
《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》を挟んで9枚目のマナを溜め……

表情ひとつ動かさない◆ドラ焼きだが、この時点で負けを覚悟していただろう。
クリーチャー主体のデッキを全て封じ込む、《地封龍 ギャイア》に到達!!
クリーチャーの効果を連鎖させてループに入る◆ドラ焼きにとってはあまりに致命的な一打。効果をすり抜ける《超暴淵 ボウダン=ロウ》を出すことはできるが、コンボに突入するための《アーテル・ゴルギーニ》などの踏み倒しが許されなくなった。
2ターンかけてのリーサルを目指す◆ドラ焼きだが、《地封龍 ギャイア》のもう一つの効果でマナゾーンを自在に扱えるようになったZweiLanceがそれを許すはずもない。
《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》、そこから踏み倒された《夢双龍覇 モルトDREAM》+《熱血剣 グリージーホーン》によって◆ドラ焼きの盤面は瞬く間に更地に。
徹底的な詰めを前に◆ドラ焼きはお手上げ。「呪文トリガー入ってないから早く殺してくれよ!」と事実上の投了宣言を前に、容赦なく呪文トリガーを封じる≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫。
ZweiLanceが圧巻の2-0を果たした。
WINNER:ZweiLance
所感
第5節を終えての順位は以下の通り。

全チームが3-3で並び、今節は初めてポイント差の変動がなかった。(後期第3節も構築戦では3-3だったが、サブリーダー戦で勝敗が分かれている)
しかし、どのチームにとっても納得のいく結果とは言えない。
魔王軍とSAGAは差を詰められず、かといってFTGも魔王軍との3pt差を安泰とは言えない状況だ。
最下位のSAGAが優勝するためには、最終節で全勝し12Ptを獲得しつつ、ほか2チームが25Ptを超えないという条件を満たす必要があるが……当然これは現実的には厳しく、優勝争いはFTGと魔王軍の一騎打ちとなった。
FTGにとっては、以前から掲げている「リーダー戦までに差をつける」作戦をどこまで実行できるかが鍵。構築組ができるだけ差を広げなければ、魔王dottoの牙が剥かれてしまうのだから。
個人単位ではるるる、カイザ、ZweiLanceが2-0を達成。
特にるるるは前期からのフル出場を継続しつつ、後期で3度の2-0を記録。
DMGPにも一切目もくれず、DTLに全力を注いで結果を出す姿は、まさにミスター・デュエチューブリーグの名にふさわしい。
あとがき
後期第5節は、すべてのチームが3-3と、まさかの完全均衡状態に。ポイント差が変動しなかったことで、最終節を迎える各チームの戦略がよりシビアに問われることになった。
特にFTGにとっては、ここで魔王軍との差を広げられなかったことが痛手だろう。リーダー戦での直接対決が重要視される中、特に重要となるのが構築戦でどこまで差を広げられるか。

それを踏まえた上で第6節の構築戦ルール……収録カードの全容がギリギリまでわからない中、メタゲームを定める難易度が非常に高いルールに感じられる。
まさに「異次元の超獣使い」専用の特殊環境をどう乗りこなすか。各チームの全てのスキル、特に構築力が求められるところだろう。
リーダー戦はガチンコのオリジナルフォーマット。ここでの焦点は間違いなくFTGリーダーのflat-がどこまでdottoとZweiLanceに食いつけるか。
他2人に比べて競技面での実績に欠けるflat-だが、ここで意地を見せられなければFTGの優勝戦線に黄信号が灯ることになるだろう。ポイント差を考慮すれば最低でも1勝は持ち帰りたいところだ。
いよいよ後期最終節。果たして最後に笑うチームは―――。
クレジット
たけじょー:1~6戦のカバレージ
イヌ科:それ以外の執筆・編集
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