求道者は命を燃やし続ける―――デュエチューブリーグ後期全試合を終えて。

DTL

はしがき

 逆転に次ぐ逆転。その行方が最終戦までもつれ込んだ後期デュエチューブリーグは、誰にも予想できなかったflat-の2連勝によるFTGの優勝で幕を下ろした。

 最終節にして膠着状態が一気に解けた第6節。そこで行われていた駆け引きを本稿で紐解いていこう。

FTG

村井【水闇自然ジャオウガ】

るるる【火光ドギラゴン閃】

フェアリー【光水天門】

魔王軍

セキボン【闇自然フシギバース】

◆ドラ焼き【闇自然フシギバース】

カイザ【水闇自然t光ジャオウガ】

SAGA

おんそく【光水自然メルヴェイユ】

リキセキタクジン【火光ドギラゴン閃】

にわか【光水天門】

構築戦環境振り返り―――”推し”が環境を定義

 魔王軍の◆ドラ焼き曰く、この環境を定義したのはSAGAのにわかだという。

一番評価が高かったのは【火自然サロメ】。
圧倒的速度とマジレス性能で対策してないデッキを本当にボコボコにできるから一番強いなぁって思ってた。

ただ、にわか選手がリゼ様のガチファンでSAGAが【天門】を使うのが確定していたから、やや使いにくいデッキでもあった。

最終的には、天門は絶対に切りたくないってことで【アナジャ】+【闇自然大魔王軍】×2に。
両方最低限の受けと、これが決まれば勝ちっていう太い動きがあるから、メタ読みを外しても巻き返せるパワーを信用して選んだ。

―――◆ドラ焼きのXより引用

 もちろんのすけ選手が予想したように【天門】というデッキ自体の強度は高かったのだが、それ以上ににわかの推し愛こそがこの環境を定義していたといっても過言ではない。
 ある意味カイザの【ボルシャック】のような、個々人のフィーチャーデッキを使用できたときのような感覚に近いのかもしれない。今期のメタゲームの切り口はここからとなった。

 結果として【ジャオウガ】が4-0、【フシギバース】が3-1とハイアベレージを収める。
 特に魔王軍は【天門】の持ち込みを取りやめたことで1チームだけメタゲームから抜け出して好成績を収めた。

 SAGAは【天門】を意識した構成でにわかの脇を固めたが、ややメタ読みが空振り。
 おんそくが持ち込んだ【メルヴェイユ】の《ミラクルストップ》ギミックは決まれば強烈なものだが、小型クリーチャー中心のデッキ構築が他チームに比べデッキパワーの面で劣っていたか。

 FTGは村井が気を吐いたものの、まさかのるるる、フェアリーがどちらも0-2という手痛い結果となった。
 特に両試合《聖霊超王 H・アルカディアス》をぶつけられたフェアリーは各チームの【天門】対策をモロに食らった格好に。リーダー戦を前に魔王軍に同点に追いつかれてしまった。

オリジナル環境振り返り―――デッキパワーという保険

 まずは各人のデッキを振り返っていこう。

flat-【水自然キャベッジ】

dotto【火光闇ファイアー・バード】

ZweiLance【火光闇ファイアー・バード】

 本対戦が事実上の新殿堂1発目となったわけだが……なんとdottoZweiLance両名が殿堂のあおりを受けた【ファイアー・バード】を選択。
 《雷炎翔鎧バルピアレスク》を3枚失いはしたものの、リソースのやり取りに特化した低コスト帯アクションが充実していることは変わらず。何より3t《ハッター・ルピア》というドボンムーブは新殿堂後も健在だ。

 FTGが出した結論も【ファイアー・バード】が1番強いというもの。
 ほぼ【ファイアー・バード】が確定していたZweiLancedottoが対策デッキを持ち込むところまで読み、魔王軍から確実に星を持ち帰るための【キャベッジ】を選択したのだが……その代償として【ファイアー・バード】への勝率は最悪。
 第1戦で【ファイアー・バード】ミラーが判明したところで、FTGの心境は穏やかなものではなかっただろう。

 しかし、結果としてflat-が望外の2-0。
 1戦目は《ハッター・ルピア》の下振れに過剰ブーストからの《飛翔龍 5000VT》が間に合い、2戦目は≪「真実を見極めよ、ジョニー!」≫のトリガーで多面《ハッター・ルピア》を返し、いずれも速やかに蓋をしたという試合内容だった。

 これを「運が良かった」という結論で片づけるのは簡単だが、もう1歩踏み込んでFTGが【バード】に不利がついてしまうデッキの中から【キャベッジ】というデッキを見つけ出したことは評価されるべきだろう。

 これが生半可なコンボデッキであれば《飛翔龍 5000VT》を積めなかったかもしれないし、トリガーを踏ませた返しに有効手を何も打てなかったかもしれない。
 そもそもZweiLanceもdottoも3~4ターン目に無理矢理攻めなければいけない選択肢を取らされた時点で、有利マッチといえど【バード】にとって苦しい展開ではあった。
 この上振れをしっかり回収できたのは【キャベッジ】のデッキパワー、そして対応力があったからこそできたことなのだ。

 メタを外してもデッキパワーという保険が効いていること。これは今後の大型大会でも有効に働く戦略として、視聴者のデッキ選択に関しても参考になるのではないだろうか。

後期全体振り返り―――構築戦、それぞれの歩み

 最後にデュエチューブリーグ公式ページの順位表も交えて、後期全体の戦績を振り返ってみよう。

第6節を除いた結果
第6節を終えた最終結果

 さて、結果としてFTGが優勝に至った直接の要因はサブリーダー戦、リーダー戦のポイントを全て回収したところにある。
 第3節、チーム曰く「やや下振れ」のプールで2-0をもぎ取ったフェアリーと、メタ読みを外しながらも第6節で大立ち回りを見せたflat-こそが最大の立役者だ。

 FTGは構築戦において後期勝率50%と勝率こそ控えめだが、ここで負け越さなかったことこそリーダー戦のアドバンテージを守り切った要因。デッキ選択は半年通じて手堅いものが多く、下振れを起こしても3-3はしっかり持ち帰りたい、というチーム単位での意図が見え隠れする。
 その中でも構築戦全てに出場しきったるるるの活躍を取り上げないわけにはいかないだろう。
 出場した6回中3回の2-0、第1節ではまさかの【4cデリート】での2-0を果たし、Tier1の【XENARCH】も華麗に使いこなしてきた。
 彼こそがFTGの絶対的エースであり、「ミスター・デュエチューブリーグ」であることはもはや誰の目にも明らかなほどに証明されただろう。

 逆にリーダー戦、サブリーダー戦を除いた場合に圧倒的な成績を残したのが魔王軍。前期優勝SAGAの最終ポイントよりも1Pt多い、21Ptを構築戦のみで回収している。
 目を見張るのがチーム単位での構築力。第1節の【万軍投】、第2節の【COMPLEX】、第6節の【フシギバース】は全て他チームと一線を画すアプローチで環境を攻略してみせた。
 とはいえ結果として2期連続2位となってしまった悔しさが晴れるわけもない。中核を担うdotto、◆ドラ焼きは来シーズンに向けさらに牙を研ぐことだろう。

 SAGAはシーズンを通して不調となったが、とりわけ第4節で披露した【ジャックジャイアント】は殿堂ゼロ環境そのものに一石を投じた、後期1、2を争う傑作デッキを生み出したと言える。
 デッキビルド能力に長けたおんそくマイケルのアイデアが再び環境を動かすほどのパワーデッキを生み出す日はそう遠くないかもしれない。

あとがき―――求道者という在り方

 デュエチューブリーグが始まってから1年。視聴者の目に、DTL選手はどう映っただろうか。
 誰も思いつかないデッキを披露する姿、難解なプレイング要求を軽々と乗り越えていく姿。
 自身のYouTubeチャンネルでおちゃらけている姿、SNSやオフイベントで交流する姿。

 その裏で、毎日のように難解なレギュレーションに向け、練習を重ねるその姿に―――

 求道者であることは時に孤独だ。
 特にこれが情報を扱うゲームである以上、最も時間をかけている練習の風景が対戦相手に知られることは大きなディスアドバンテージ。
 つまり、我々にその姿を知る術は限りなく少ない。そんな中で、決闘者の記録でその一部を垣間見ることができた。

 これを見てあなた方は何を思っただろうか。
 共感ではなく、畏怖に近い感情を覚えた方が多いのではないだろうか。

 flat-を含むFTGのメンバーは毎日のように秋葉原に集まり、勝利のために練習を積み重ねた。
 カメラが回っている逃げ場がない場所で、DTLの在り方について真剣に議論を持ちかけたおんそく
 dottoはDTLに向けて睡眠もままならない日々を繰り返し、◆ドラ焼きはDTLのために仕事すらも犠牲にした。

 なぜデュエル・マスターズにそこまで命を懸けられるのか。たかが子供向けカードゲームじゃないか。
 世間から正当な評価を受けることはないかもしれないのに、なぜ目の前の1勝にそこまで魂を燃やせるのか。

 その答えは選手の誰に聞いても明快であろう。
 人生を捧げてきたデュエルマスターズにおいて、最高の相手と戦って勝利をもぎ取ることこそが、彼らにとって至上の喜び。
 用意された戦い全てに全力で立ち向かうことこそが、彼らにとっての存在証明に等しいのだ。

僕は今の見せ方のまま、選手一人ひとりがもっと上手くなることで生まれるドラマはあると思うし、まだまだ面白くなると思ってる人です。

FTGもSAGAも次もバチバチでやろう。全デッキ回して、全対面への勝率とか立ち回り把握して、新デッキ考えて、変な長考なくて、って状態を目指して、その上でエンタメがどうのとか考えようぜ。

―――◆ドラ焼きのXより引用

 だからこそ◆ドラ焼きはこの言葉を言うことができるのだ。
 見世物として用意されたものではない真剣勝負だからこそ、DTLという場所に熱が生まれるのだ。

 しかし、この先に何が待つのかは分からない。事実としてDTLはまだ発展途上であり、視聴者からの賛否両論が存在する企画であることは間違いない。
 この先、何かのきっかけで将棋や麻雀のように、トップレベルのカードゲーム観戦が大衆文化として根付くことがあるかもしれない。
 はたまた、何も残らない結末に終わることだってあるかもしれない。

 ただ、彼らがこうして燃やした情熱は何かの火種にならねばならない―――そう思うのだ。

クレジット
イヌ科:振り返り文章作成
この記事を書いた人

DM Lithograph発起人。公式カバレージライター。DMGP9th優勝。第2期認定ジャッジ。最近はデュエプレめっちゃやってる。カス。

「私がめっちゃイヌ科さん好きみたいな印象を持つかもしれませんが、別にそんなことはないんですよ。どちらかというと三振かホームランかみたいなタイプだし、〆切破りの常習犯だったし、色々とむず痒く思うこともあるんですが……。」(神結先生の記事より抜粋)

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