5年前の情熱に捧ぐ、2019年のノスタルジア。デュエチューブリーグ後期第1節を終えて。

DTL

配信アーカイブ

はしがき

 新メンバーを迎えて行われたデュエチューブリーグ後期第1節。
 ここでの戦いを振り返ってみると、どうにも違和感を覚えるのだ。

 私はパンデミックによるイベント休止を機に競技デュエル・マスターズから離れた身だ。正直、最近のカードの名称や効果が一部あやふやなほど。
 その状態でも観戦する分には楽しめるのだが、どうにもこの日得られた高揚感は何か今までと異なるものがある。

 まるでパンデミック前、2019年のような……。 

後期第1節レギュレーション

レギュレーション:
アドバンス
「天下夢双!!デュエキングDreaM 2024」のカードを各チーム合計30枚以上
1回の対戦に2種類以上、または4枚以上採用しなければならない

事前予想

 事前予想記事を参照。これに加えて私見をいくつか。

  • 《モルトDREAM》を筆頭にドラゴンの新規かつ強力なカードが多いため、素直にドラゴンデッキを組むだけで新弾枠を大量に食えるパワーデッキを組めることになる。
  • 《BAKUONSOOO》は1枚でゲームに勝つ高いパワーを持つが、新弾枠で相性のいいカードが少なく、採用するとなるとチーム単位での構築難易度が高くなってしまう。
  • 新弾に低コストのカードが不足している印象。各チーム序盤の動きには苦労しそうだ。
  • 出場選手に関して、まず新加入の選手の顔見せという形になるだろう。手札カウンターを得意とするマイケルにとってお誂え向き、しかし構築難度の高い《バロムナイトメア》を形にすることはできるか。

出場選手、使用デッキ

FTG

あーくん【火光水BAKUONSOOO】
新弾枠8:
《頂上混成 BAKUONSOOO8th》×4
《記憶の炎 ボルメテウス・エナジー / 魂と怒りの盾》×2
《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》×2

はるる【光水闇スワン】
新弾枠8:
《スゴ腕プロミキサー》×4
《邪閃光》×4

るるる【火抜き4cデリート】
新弾枠14:
《蒼狼の豊穣 ワクムテラス / オリジナル・ライフ》×4
《呪烏竜 ACE-Curase / 繁栄の鏡》×4
《邪閃光》×4
《ダーク・ソング》×2

魔王軍

りっきー【火光水BAKUONSOOO】
新弾枠4:
《頂上混成 BAKUONSOOO8th》×4

◆ドラ焼き【光抜き4c万軍投】
新弾枠13:
《蒼狼の豊穣 ワクムテラス / オリジナル・ライフ》×4
《蒼き夢双 ドギラゴン天》×3
《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》×3
《呪烏竜 ACE-Curase / 繁栄の鏡》×3

dotto【火光自然モルト】
新弾枠13:
《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》×4
《夢双龍覇 モルトDREAM》×4
《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》×4
《蒼き夢双 ドギラゴン天》×1

SAGA

にわか【火水自然モルト】
新弾枠11:
《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》×4
《夢双龍覇 モルトDREAM》×4
《蒼き夢双 ドギラゴン天》×3

リキセキタクジン【火光水BAKUONSOOO】
新弾枠9:
《頂上混成 BAKUONSOOO8th》×4
《記憶の炎 ボルメテウス・エナジー / 魂と怒りの盾》×4
《頂上電融 クライアッシュ“覇星” ’22》×1

マイケル【火闇ドルマゲドン】
新弾枠10:
《混沌の獅子デスライガー / カオス・チャージャー》×4
《悪夢神バロム・ナイトメア》×3
《蒼き夢双 ドギラゴン天》×3

所感

 前期総括インタビューで各チームが意識した通り、3デッキバラバラ、かつそれぞれのチームに特色が出る形となった。

 まず【BAKUONSOOO】は全チームが採用。ただしその構築には差があり、あーくんは《リリアング》に頼らず太いゲームを作る形、リキセキタクジンは逆に《リリアング》からの《ロジック》による3キルを意識した構築。
 りっきーは後者寄りの構築だが、なんと新弾枠は最低枚数の4。これは他メンバーの新弾枠を食うデッキ構築が上手くいったことの裏返しとも言えるだろう。

 そして、他2デッキに関してはかなり各チームの特色が出るところとなった。
 最も特徴的なのは防御力の高いデッキで固めてきたFTGだろう。受けトリガーをフィーチャーした【スワン】【4cデリート】は【BAKUONSOOO】や【モルト】のビートダウンを強く意識したものだろうか。

 魔王軍の【モルト】に続くデッキは◆ドラ焼きが得意とするデッキのひとつ、【4c万軍投】。
 その本質は中盤域で強いカードをふんだんに搭載したミッドレンジデッキ。《カツキング》《ドギラゴン天》によるボード干渉能力、幅広いデッキと渡り合える対応力を評価してのことだろう。

 SAGAは予想通りと言うべきか、マイケルがデーモン・コマンドに寄せた【赤黒ドルマゲドン】をチョイス。《バロムナイトメア》による逆転をぜひ期待したい。
 プール内のデーモン・コマンドの枚数が足りていないと思われたが、《ドギラゴン天》と組み合わせて使える《イーヴィル》採用は構築の妙。

 FTG、魔王軍ともに3rdデッキの構築に《ワクムテラス》、《ACE-Curase》が大きく貢献している。
 今弾の数少ない足回りを整えるカードに注目して、ビッグマナ気味のデッキを持ち込めるように構築を成功させた。
 デッキスペースに新弾枠を食う余裕を確保する意味合いも込めた《13番目の計画》採用もアドバンスならではのシブいチョイスだ。
 この助けもあり、魔王軍はフルパワー【BAKUONSOOO】、FTGはほぼフルパワーの【スワン】を採用することができた。

クイックカバレージ

第1戦:あーくん vs. りっきー

 仲間内にはおなじみの”モジャモジャメガネ”……だったはずが、メイクによって垢抜けたあーくんのデビュー戦。
 対するはまさかのサングラス姿のりっきー。《カラ松》がブロックされないというのは建前で、彼のファンサービス精神が伺える。

 初戦は【BAKUONSOOO】ミラーマッチ。りっきーが後攻2ターン目に《リリアング》《T・T・T》を決める絶好の立ち上がり。
 あーくんは先攻3ターン目に《コルフレ》。手札を整えつつ、後攻3ターン目に走られたとしてもトリガー《コルフレ》の受け入れを作った形だ。

 だが、結果としてそれは後攻3ターン目の解答になり得なかった。

あーくん、3tフレアを前に思わず顔が引きつる

 2ターン目から手札を循環させたりっきーの手には、すでに《触礼亞》《BAKUONSOOO》が揃っていた。

 《リリアング》からシールドを1枚ずつ割っていき、GRクリーチャーが連鎖して並んでいく。
 3枚目で《コルフレ》がトリガーして《BAKUONSOOO》を止めるが、そのあとから出てくるGRクリーチャーにその効果を当てることはできない。
 さらにここで出てきたのが返しの《BAKUONSOOO》からのGR召喚を咎める《ジェイ-SHOCKER》5戻し。これで事実上のゲームセット。

 結局その後トリガーは現れず、《ジェイ-SHOCKER》が2、3、5コストを止めた状態でダイレクトアタック。
 3ターン目、2枚のカードによるこれでもかというほどのオーバーキルで、DTL後期は幕を開けた。

WINNER:りっきー

第2戦:はるる vs. ◆ドラ焼き

 曰く「FTG顔」だったはるるの移籍後デビュー戦。ある意味ホームに帰ってきた彼としては勝利を持ち帰りたいところだ。
 りっきーからサングラスを受け継いだ◆ドラ焼きはメガネの上にサングラスというダブルメガネスタイルで登場。
 双方チームの絆の強さが伺える。

 試合は◆ドラ焼きが《カツキング》を自身の効果で使いまわすことで、ひたすらにリソースを稼ぐスローな展開。
 はるるも《スワン》によるシールド追加を重ねていくが、◆ドラ焼きは全く意に介さずデッキを回していく。はるるは暖簾に腕押し状態といったところか。

 均衡が崩れたのは◆ドラ焼きが10マナまで貯めたタイミング。その《カツキング》で回収されたカードは、はるるが思わず俯いてしまうほどに強烈な、絶望的なカードだった。

俯くはるるをよそに、◆ドラ焼きはポーカーフェイスで処理を続ける

 8マナ版《神の試練》こと、《必殺》が回収される!

 さらにこの《カツキング》は《ドギラゴン天》にチェンジし、《スワン》を除去しながら《サイクルペディア》を安着させる。
 このまま《サイクルペディア》が残ると《必殺》ループによって敗北は必至だが、【スワン】はジャストダイバー状態の《サイクルペディア》を処理できるほど器用なデッキではない。
 泣く泣く《スワン》を出し最後のターンエンドを宣言したはるるに、追い討ちをかけるように◆ドラ焼きが呟いた。

「そのデッキ、当たると思ってたよ」

「嘘でしょ~……」

WINNER:◆ドラ焼き

第3戦:るるる vs. dotto

 魔王、サングラスで降臨。

流れ的に自然ではあるが、お茶目をするdottoに解説ののすけも笑いが止まらない

 りっきーから受け継いだサングラスを躊躇いもなく装着。普段は真面目なdottoが突然ふざけると面白い現象を本人はよく心得ているし、対面のるるるは爆笑しきりだ。
 るるるは前期から続けて7節連続出場。その出場ペースはまさしく”ミスターデュエチューブリーグ”の二つ名がふさわしい。

 るるるが使うデッキは【4cデリート】だが、dottoの【モルト】には《禁断 ~封印されしX~》が設置されている。
 《オールデリート》に頼らない勝ち筋が求められたるるる。まずは《獅子王の遺跡》を成功させ一気にマナ加速。

 dottoはブーストを連打する展開だが、それなりに強い動きができる5マナ域でもブーストを繰り返している。
 強いカードを持っていない。そう読んだるるるは《モルトDREAM》だけ割り切りといった形で《繁栄の鏡》から《フリースタイル》を抱えに行く。
 その読みが当たり、返しのdottoの動きは《王道ドギラゴン》によってリソースを抱えるのみ。博打に成功したるるるは《フリースタイル》でシールドを構えに行く。

《ダイスベガス》でさらなる防御を構えるるるる、対してうまく打点を組み切れないdotto
 るるるは《インフェル星樹》で相手の封印を2枚剥がしながら《ブルー・インパルス》で打点をリセットするなど、タイムリミットをdottoに突きつけながら守りを固めていく。
 dottoは《ボルシャック・ドリーム》で封印を剥がさず致死打点を組みに行くテクニックを見せるも、《ダイスベガス》から《見極めよ》でシャットアウト。

 返しのターンで《テック団の波壊Go!》+《オリオティス・ジャッジ》。相手の禁断対策も万全のるるるが魔王軍から星を1本取り返した。

WINNER:るるる

第4戦:りっきー vs. にわか

 はるるに対して「千葉顔」と評されたにわか、本人も「故郷に帰ってきた」とリラックスした様子。
 サングラス続投のりっきーと合わせて、どこか緊張感が抜けた雰囲気で試合が始まった。

 先攻3ターン目までお互いにマナチャージを繰り返すゆっくりとした立ち上がり。
 ゲームが動いたのは後攻3ターン目。りっきーが《リリアング》⇒《銀河》⇒《コルフレ》と一気に動く。
 これににわかが《ガイアッシュ》を合わせる。構わない、《ガイアッシュ》だけなら《触礼亜》で処理できる範囲内だ。

 そう、《ガイアッシュ》だけならよかったのだ。

単色チャージ《クライアッシュ》で勝負あり

 この時点でりっきーが要求していたのは、火、水、自然の3色マナを揃えること。(2ターン目《ホーリーグレイス》チャージにより未達)
 そして、《クライアッシュ》を手札に引くこと。

 どちらのハードルも乗り越えたにわかの一撃により、りっきーの攻勢が完全にストップ。
《触礼亜》《BAKUONSOOO》は揃っていたものの。最終ターンは《クライアッシュ》の効果で飛ばされてしまった。

 追い討ちをかけるように《助けて》《モルトDREAM》で勝負あり。
 スローペースな立ち上がりはどこへやら、4、5ターンの2ターンのみで詰め切ったにわかが移籍後初勝利。

WINNER:にわか

第5戦:◆ドラ焼き vs. リキセキタクジン

 謎の新人リキセキタクジン、ついに登場。「神の速度で駆け抜けていきます」と力強く宣言。
 ◆ドラ焼きも思わず「心臓でけ~…」と感嘆。大型ルーキーのデビュー戦だ。

 先攻を取ったリキセキタクジンが《リリアング》でドローソースを撃ちながら攻める展開。
 4ターン目に《触礼亜》《クライアッシュ》を立て、《逆転撃》ケアのターンエンド。◆ドラ焼きの手には《ガイアッシュ》もなく、ペースをうまく変えながらの展開がハマっている。

 が、EXライフが外れた《クライアッシュ》はいわば棒立ちであり、そのコストは10。
 この材料さえ揃ってしまえば、◆ドラ焼きにとってカウンターは容易だった。

それなりに強い盤面が2枚のカードによってズタボロに

《カツキング》で《リリアング》バウンス、革命チェンジ《ドギラゴン天》で《クライアッシュ》バウンス、その効果で《デドダム》《カツキング》、《カツキング》効果で《リリアング》バウンス………。

 エスケープ持ち2体に、踏み倒しを伴えばターンが飛ぶリスクを負った中にも関わらず、1ターンで盤面をひっくり返してしまった。
 おまけのように膨大なリソース獲得までついてきた。返しに有効なアクションができなかったリキセキタクジンに対して、蓋となる《とこしえ》+《全能》まで……。

 ここからあっという間にデッキを掘り切り、《必殺》ループ。無限ターンを取った後ですら、全ハンデス+全ランデスでこれでもかというほどに詰め切り。
 出る杭は何回でも思いっきり叩く。そんな心の声が聞こえるほど、大型ルーキーに強烈な洗礼を浴びせた。

WINNER:◆ドラ焼き

第6戦:dotto vs. マイケル

 マイケルに任された初仕事は”魔王討伐”。普段の彼が着ることのないネイビーのユニフォームも相まってフレッシュな印象。
 それにしても、この日のdottoは声がかすれている。本人曰く疲労ということだが……。

 マイケルは2t《FORBIDDEN STAR》からの《ジゴクパルテノン》という最高の滑り出し。
 ここにはdottoが《ボルシャックドリーム》でタップキル、捲れた《ドギラゴン天》でEXライフ込み完全除去。
 返しにアクションのなかったマイケルに対して一気にプレッシャーをかけるべく、dottoは《助けて》《NEXT》で迅速に詰めにかかる。

 ………が。実況席とジャッジはその異変に気付いていた。

“魔王”dottoの貴重なポカミスシーン。「やらかしたー!」

 火マナは3枚。《NEXT》のマナ武装が未達成だったのだ。
 正確無比なプレイングで知られるdottoの珍しいミス。《ボルシャックドリーム》の攻撃時効果で出たのも《グレンアイラ》と火力不足となり、大きな隙を見せるターンとなってしまった。
 マイケルはこの隙を逃さず、《最終ボロフ》を絡めて盤面を制圧する。

 が、dottoの手札にはもう1枚の《ボルシャックドリーム》。捲れたのは……《モルトDREAM》!!
《爆銀王剣 バトガイ刃斗》を絡めて封印を1枚残しながらのリーサルを狙う。

 だが、相手は手札カウンターの達人で知られるマイケル。彼の真骨頂はダイレクトアタックを宣言されてからだ。

 宣言は《バロムナイトメア》と《深淵の逆転撃》。
 ただし、この《ナイトメア》はハズレ。ボトム固定に成功していれば……というところだったが、令和の《ボルドギ》は捲ったカードをそのまま墓地に置いてくれるため、2回目のチャレンジができる。
 《深淵》で2回目のダイレクトアタックまで勝負をもつれ込ませる。その結果は―――

《バロムナイトメア》2連外し。マイケルはたまらず吹っ飛んでしまった

 マイケルの《ボルドギ》外し。令和になってカードが変われども、それは健在だった。

WINNER:dotto

第7戦:にわか vs. あーくん

 古巣のルーキーを相手に「後輩に洗礼を浴びせる」と煽っていったにわかに対し、あーくんが一言。
「先輩がいながらも前期3位だったので……」
 試合前のトラッシュトークはあーくんに軍配。肝心の試合はどうなるか。

 にわかが《メンデルス》《龍世界》《クライアッシュ》とテンポよく動く。それに対し、あーくんは手札を整えながら《魂と怒りの盾》で《クライアッシュ》に対処してチャンスを伺う。

《龍世界》から《ドギラゴン天》を捲ったにわかは、このターンのドローで《助けて》《モルトDREAM》を揃える!
 この攻撃は3点《コルフレ》でリーサルが消えるもののシールドを0にするところまで攻撃。最後のシールドに眠っていた《クロック》を引きずり出しつつ、自身の《ホーリーグレイス》トリガーで勝てる状況まで持ち込んだ。

 ただこのトリガーで《ガイフレア》龍解を防いだことで、《触礼亜》《BAKUONSOOO》が通る。
 しかし依然《ホーリーグレイス》の脅威は残ったまま。にわかの目はまだ死んでいないが……。

《クロック》を仕込みながらリーサル!!

 シールド3枚まで追い詰めたタイミングで、《ダンダルダ》からの《魂と怒りの盾》で盤面の《クロック》を再びシールド化するスーパープレイ!
 これで《ホーリーグレイス》トリガーすらもケアしたあーくんがそのまま殴り切り。見事初勝利を挙げた。

WINNER:あーくん

第8戦:リキセキタクジン vs. はるる

 神奈川県のランキングでしのぎを削った2人。対戦中も軽口が飛び交う。
 が、実は対面が決まった段階でリキセキタクジンは諦めムード。シールドを割った数を誇らなければいけないほどに、絶望的なマッチアップだった。

 リキセキタクジンが《同期》《ボルメテウスエナジー》《リリアング》を出しながらビートダウンする展開。
 これが生半可なデッキならよかったのだが……今回ばかりは相手が悪かった。

 はるるの扱うデッキは【光水闇スワン】、通称”逆アポロ”。
 シールドが増えるシールドトリガーをふんだんに搭載したこのデッキは、闇雲に攻撃しても全くシールドが減らないのだ。

3枚ブレイクしたはずが、全く攻撃が通らない。《スワン》着地で実質ゲームセット

 これに関してはFTG側のメタ読みが冴えていた。お互いの構築が割れた段階で99%勝てるマッチアップだ。
《エンドオブランド》などがあればまだよかったのだろうが、リキセキタクジンの【BAKUONSOOO】はそのような絡め手のカードが採用されていない。

 最後に《BAKUONSOOO》2体からの《轟轟轟》降臨など見せ場は作ったが、はるるの増えすぎたシールドが減る気配も見せないまま、リキセキタクジンのデッキ切れで勝負あり。

WINNER:はるる

第9戦:マイケル vs. るるる

 マイケルは2022年上期アドバンス1位という肩書きを持つ。アドバンスの達人である彼にるるるは「当たりたくなかった」とぼやく。
 ただしマイケル視点は非常に立ち回りにくそうなマッチアップ。難しい試合になりそうだ。

 マイケルは初動を引けず、るるるも《獅子王の遺跡》を失敗するなどスローな立ち上がり。
 後攻5ターン目、マイケルの《鬼寄せ》《ダークマスターズ》が炸裂。ただ前のターンに置いた《ダイスベガス》が効いている。

 マイケルは次のターン、《イーヴィル》を添えつつ《ダークマスターズ》を《レッドゾーンX》に侵略して2点!
《レッドゾーンBSR》への覚醒を狙ってこのタイミングでシールドを詰める好判断。トリガーは……。

マイケル、再びの咆哮。「そのデッキ50枚ですよね?」

 ここで値千金の《獅子王》トリガー!!
 マイケルとしては《ドギラゴンX》3点まで行ってシールドを割り切る算段だっただろうが、一挙のマナブーストによって次のターン《デリート》圏内へ。この状態でリソースをむやみに与えるわけにもいかず、無念のターンエンド。
 るるるは《デドダム》《獅子王》でマナを15まで伸ばし、マナに《デリート》がある状態。《繁栄の鏡》まで受け入れにし、《ダイスベガス》に守られた状態でターンを返す。

 敗着かと思われたマイケルだが、ここで起死回生の一撃。
 まず《ダークマスターズ》で手札を全て刈り取り、《ダイスベガス》の弾を枯らす。
 覚醒した《レッドゾーンBSR》攻撃で盾を割り切り……

魂の一撃!自然と目に力が入る。

《イーヴィル》ダイレクト時、チェンジ《ドギラゴン天》!!
 ファイナル革命の的はいないが、ジャストダイバーによってほぼ全ての除去カードが当たらない……《ダイスベガス》があったとしても。
 これにて勝負あり。

魂の一撃、届かず。

 ……しかし、最後に立っていたのは、るるるだった。
 このアタックに対するデッキ内唯一の解答、《サイゾウミスト》をシールドから引き当てていた。マイケルの攻撃は届かない!!

 そしてこのブレイクで手札に入ったのは……ゲームを決める《繁栄の鏡》。
 マナに置かれた《オールデリート》が回収され、シーソーゲームが決着した。

WINNER:るるる

所感

 後期第1節を終えての順位は以下の通り。

 魔王軍、FTGがともに貯金を2つ作りSAGAが借金を4背負うこととなった。
 SAGAにとっては最悪の滑り出しとなってしまったが、今回に関しては勝ち越した2チームの構築力が光った。

 ◆ドラ焼きるるるはどちらも新弾枠を大量に使用しての2-0。他の2人に強力なデッキを渡しつつこの成績を収めた意味合いは非常に大きい。
 ◆ドラ焼きは【BAKUONSOOO】、【スワン】という真逆のデッキを倒しての2-0。構築制限を苦にしないような対応力の高さを見せた。
 構築プレイともに冴え渡ったるるるも見事。彼によって《繁栄の鏡》は事前予想よりも大幅に評価を上げただろう。

 SAGAは新人2人がDTLの洗礼を浴びる形に。
 マイケルはどちらの試合も紙一重。特に第9戦で見せた《ドギラゴン天》リーサルは《サイゾウミスト》以外では易々と受からなかった見事なプレイ。今回はツキに恵まれなかったと言っていいだろう。
 リキセキタクジンは持ち込んだ構築が真っすぐすぎたか。《ロジック》を生かした絡め手を採用しておけばどちらの勝負も分からなかった分、事前準備でメタゲームを絞りすぎたリスクを被ってしまったように見える。

あとがき

 世界的パンデミックによるイベントの中止、伴って入れ替わったプレイヤー層。
 競技デュエル・マスターズにおいて、2019年はひとつの区切りといっても差し支えないのではなかろうか。

《超戦龍覇 モルトNEXT》、《BAKUOOON・ミッツァイル》、《蒼き団長 ドギラゴン剣》…。
 豪快かつ繊細なフィニッシャーをいかに使いこなすか、デッキ構築に日々明け暮れる。
 私が過ごしたそんな日々は、当時を彩った彼らと共に、かけがえのない思い出となっていた。

 後期第1節。その特殊レギュレーションで指定された新弾のパックは、「DreaM」の名を冠していた。
 活躍したトップレアのクリーチャーには、すべからく”ドリーム”のルビが振られていた。

 画面の向こうで行われたこの戦いは、私にとってみればまさしく「夢想的」であった。

 ミサイルの号令とともに連鎖するGRクリーチャー。
 一撃でゲームの趨勢を決定づけるドラグナー。
 難攻不落の防御手段を封殺するループギミック。
 手札に抱えられた一発逆転のカウンター。
 あらゆる局面を打開する蒼の革命。

 今思えば、これは2019年の追体験だ。

 るるるが用意した《伝説の禁断 ドキンダムX》対策は、あの頃と同じ”テック団ジャッジ”だった。
 ◆ドラ焼きの尽きないリソースの源は、あの頃と同じ《“魔神轟怒”万軍投》が引き連れるGRクリーチャーだった。
 マイケルが願いを込めて捲ったのは、あの頃と同じハズレの《悪夢神バロム・ナイトメア》だった。

 彼らの試行錯誤を経てこの場に持ち込まれたデッキたちには、あの頃の思い出がかすかに香っているような。
 私が情熱を注いだ2019年の競技デュエル・マスターズが、そこにはあった。
 この胸の高鳴りは既視感によるものだということに気付いたとき、当時の情熱が報われた気がした。

 そして、あの時代を共に戦ったプレイヤーたちは今も第一線にいて、公式が彼らをフィーチャーして競技シーンを盛り上げている。
 思い描いた夢が現実となって、画面の向こうに広がっている。高揚が抑えきれなかった。

 そんな思い出に浸る一方で、もう2019年が5年前であり、「あの頃」なのか、とノスタルジーを感じてしまう自分に気が付いた。
 なんだか一気に夢から醒めたような気がした。昔を懐かしむのはこれで終わりにしようと思う。

 ここにはあの頃を生き抜いた猛者だけでなく、りっきーにわかのような新しい顔ぶれも揃っているのだから。

画像出典:YouTube動画生配信 デュエチューブリーグ後期第1節生配信 より

コメント

タイトルとURLをコピーしました