どれだけ大きなシーンになろうと、逆転こそが、カードゲームだ。デュエチューブリーグ後期第3節を終えて。

DTL

はしがき

 マジック・ザ・ギャザリングにおけるドラフトやシールド、Shadowverseにおける2Pick、デュエル・マスターズプレイスにおけるクイックピック……
 ランダムに排出されたカードの中で即席デッキを組んで戦う、このようなルールは総称して「リミテッド」レギュレーションと呼ばれている。

 リミテッドにおける醍醐味といえばやはり地上戦だ。構築戦ではカードパワーが足りない、しかしコツコツとアドバンテージを稼ぐカードをお互いにプレイするやり取りを通して、相手との差をじわりじわりと広げていく。
 不利盤面を覆す、ゲームチェンジャーになりうるカード……いわゆる「ボム」はそこまで多くは積まれていないだろう。それだけを割り切って堅実に、一歩ずつ勝利へと歩みを進めていくことがリミテッドの定石だ。

 だが、現代デュエル・マスターズにおけるそれは一味違う。
 2024年度のこのゲームのキャッチコピーは、「逆転こそが、カードゲームだ。」なのだから。

後期第3節までの状況、およびレギュレーション

順位状況:
1位:魔王軍 8pt
2位:FTG 7pt
3位:SAGA 3pt

レギュレーション:
「悪魔神、復活」のカードを各チーム合計30枚以上
1回の対戦に2種類以上
または4枚以上使用しなければならない
オリジナルフォーマット

サブリーダー戦:
特別シールド戦、勝利チームには勝ち点3ptが付与される
「悪魔神、復活」1BOXを使用し、デッキを2個作成
2試合でそれぞれ別のデッキを使用し、
どちらを先に使用するかはあらかじめ選択
構築時間は「40分」
本番当日の対戦がないタイミングにてチームで構築
対戦順はくじ引きで決定

 今環境についての事前予想について、のすけ選手がflat-デュエマ工房ブログで書いた事前予想記事がわかりやすくまとまっている。
 以下にインタビューなどで得た私見も加えた上で、簡易的なまとめを記す。

  • 《剛撃聖霊シェバ・エリクシア》、《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》など既存のデッキに入るパワーカードが大量。
  • 【天門】、【ジャオウガ】などがシェアを伸ばすと予想される。
  • シールド戦の最重要カードは箱1枚確定で入っているボムレア、かつどのデッキにも入りうる《悪魔世界ワルドバロム》。パック運も絡むが、銀トレジャーから《飛翔龍 5000VT》が出てきたら吹っ飛ぶ。

出場選手、使用デッキ

FTG

はるる【光水闇マーシャル】
新弾枠5:
《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》×3
《魔誕麗姫ピカドール》×2

村井【5cハザード退化】
新弾枠14:
《邪爪の魔法陣》×4
《邪尾の魔法陣》×3
《邪眼の魔法陣》×3
《魔誕と光喜と楽識と炎怒と哀樹の決断》×3
《悪魔世界ワルドバロム》×1

るるる【水闇XENARCH】
新弾枠11:
《フメンダ=マジェンダ》×2
《影邪盗霊》×2
《「特攻」の鬼 ヨミノ晴明-1.0》×2
《韻率音愛 ハーフツイン》×2
《魔誕の斬将オルゲイト》×2
《超暴淵 ボジャガイスト》×1

魔王軍

◆ドラ焼き【5cワルドバロム】
新弾枠20:
《邪眼の魔法陣》×4
《邪尾の魔法陣》×4
《魔誕と光喜と楽識と炎怒と哀樹の決断》×4
《悪魔世界ワルドバロム》×4
《邪爪の魔法陣》×3
《悪魔世界の閃光》×1

dotto【火水闇ジャオウガ】
新弾枠5:
《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》×4
《魔誕翔天マルピア》×1

セキボン【光水闇暴発マーシャル】
新弾枠5:
《♪ハックより 一時ずらして じゅうとなな》×4
《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》×1

SAGA

ZweiLance【水闇ハイパーエナジー】
新弾枠11:
《「特攻」の鬼 ヨミノ晴明-1.0》×4
《魔誕の斬将オルゲイト》×4
《♪ハックより 一時ずらして じゅうとなな》×3

マイケル【5cゾージア】
新弾枠16:
《邪爪の魔法陣》×4
《邪眼の魔法陣》×4
《邪尾の魔法陣》×3
《魔誕と光喜と楽識と炎怒と哀樹の決断》×3
《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》×2

リキセキタクジン【火光自然ドリームメイト】
新弾枠4:
《魔誕幻獣ボンメェ》×2
《金天使 クローネ・ゴルギーニ》×2

所感

 第3節に向けたインタビューで◆ドラ焼きがこう語っていたのを思い出した。「キング・セルのサイクルがあるからなんでも組める」……。
 まさしくその通りになった。《邪心臓の魔法陣》の派生で生み出されたアンタップイン3色マナをふんだんに採用し、新弾枠を大量に消費できる多色デッキを各チームが採用。ただし、構築自由度の高さから出した結論は三者三様だ。
 ◆ドラ焼きは新規ギミックを大量採用した新デッキ【ワルドバロム】。
 マイケルは今年初めから使用していた《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》をフィーチャーしたオリジナルデッキをアップデート。
 アンフェアデッキを得意とする村井は【ハザード退化】……といった、各々の個性が出る形となった。

 その結果、他のデッキがあまり新弾枠を消費しなくても成立する、ダブルエース気味のチーム構築が目立つ。その代表格が《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》によって強化を受けた環境トップ、【マーシャル】だろう。
 また、今まで注目度が高くなかったものの今弾で大きな強化を受けた水闇のハイパーエナジーを軸としたデッキを2チームが採用。既存の環境デッキも持ち込めた今回のレギュレーションにおいてこれらのデッキを採用したということは、各々の構築に期待が持てるということの裏返しだ。
 

クイックカバレージ

第1戦:ZweiLance vs. はるる

 前期をSAGAの同胞として戦い抜いた者同士の直接対決。「複雑なんですけど関係ないです。ブッ倒していきたいと思います」と意気込むZweilanceに、はるるも「恩を仇で返す様な形で行きたい」と負けじと返した。

 《バブル・ボール》召喚で軽快なスタートを切るZweilanceに対し、はるるは手札が芳しくないのか、2ターン目までチャージエンド。
 落ち着いて《キール・ロワイヤル》や《影世界のシクミ》から動きたいところだが……そうはさせないとZweilanceが投下したのが《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》。これでさらに1ターン、《マーシャル・クイーン》着地が遠のいた。

 それでも、とチャージエンドを繰り返すはるるを横目に、容赦なくギアを上げていくZweilance。4ターン目に手出しの《ツイン・シックス》からハイパーエナジーで《魔誕の斬将オルゲイト》を着陸させ、5ターン目には追加の《ツイン・シックス》経由で1コスト《「特攻」の鬼 ヨミノ晴明-1.0》。
 覗いた手札は《影世界のシクミ》《冥土人形ウォカンナ・ピエール》《邪魂転生》《逆転の影ガレック》2枚というなかなかに悲惨なもので、顔を見合わせ苦笑する二人。

「引きすぎじゃない?」「最早マーシャルなんすかこれ」(12:30)

 いくら元戦友が相手とはいえ、1つでも多く勝ちが欲しいSAGAリーダーが容赦する筈もない。唯一の希望だった《影世界のシクミ》を捨てさせて2枚ドロー。余ったマナで《飛翔龍 5000VT》までもが着陸すると、はるるの動きは完全にストップしてしまった。

 最後は並べた盤面から新カード《♪ハックより 一時ずらして じゅうとなな》のコストを捻出し、《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》を釣り上げつつ山札を削り切った。
 《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》の効果を要約すると、まず山札0でも自分はゲームに負けず、さらにその状況下でドローするとき、代わりにクリーチャーを1体無条件で蘇生できるというもの。おまけのように登場時に2ドローもついている。

 手始めに2ドローを置換して《終止の時計 ザ・ミュート》と《ツイン・シックス》を復活させ、《終止の時計 ザ・ミュート》のドローからは《AQvibrato》を2体。そして更なるドローから姿を現したのは……異形の11コスト、《サイバー・J・イレブン》。

ハイパーエナジーと《サイバー・J・イレブン》、時代を超えたシナジーが光る。

 「バトルゾーンに自分の水のクリーチャーが11体以上あれば、自分はゲームに勝利する」。Zweilanceの場には、既に水のクリーチャーが12体揃っていた。

WINNER:Zweilance

第2戦:マイケル vs. 村井

 Zweilanceの生んだ勝ちの流れを活かしたいマイケル、弟分はるるの躓きを取り返したい村井。両者とも、使用デッキは新戦力の魔法陣シリーズを最大活用した5色デッキだ。

 お互いゆっくりとした立ち上がりになり、マイケルが《Disコットン&Disケラサス》で口火を切る。が、ここは《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》が捲れて頭を抱えることに。ワイプ芸も板についてきた。

 名リアクション製造機との呼び名もあるとか、ないとか。

 一方の村井は≪修羅の死神フミシュナ≫がファーストアクション。ここから5cミラーマッチらしいロングゲームが展開されていくのか、と思われた矢先に……
 風雲急を告げる《漢気の2号 ボスカツ》。捨てられた《天災 デドダム》を見るや否やマイケルが繰り出したのは……《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》! 村井のシールドがはじけ飛ぶ。

 そして《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》攻撃時に≪修羅の死神フミシュナ≫で捨てられた2体目の《漢気の2号 ボスカツ》が復活すると、これでぴったり致死打点が揃ってしまった。
 果たしてシールドに解答は無く、不意打ち気味に決着。SAGAが流れをモノにする2勝目を掴んだ。

WINNER:マイケル

第3戦:リキセキタクジン vs. るるる

 「神奈川最強は誰か見せつけてやるよ!」と啖呵を切るリキセキタクジンに対し、るるるは余裕とも呆れともつかない表情で「鬼の鉄壁で流します」。
 神奈川県で切磋琢磨した二人の関係性が伺える、微笑ましい一幕を挟んで対戦開始。

神の速度でカメラすら置き去りにする。結果、貴重なアングルの一枚に。

 神の速度で先攻を獲ったリキセキタクジンだが、先に動き出したのはるるる。《超暴淵 ボジャガイスト》チャージ《霊淵 アガルーム=プルーフ》で自己紹介を済ませる。
 しかし、ここに突き刺さる《キャディ・ビートル》!この環境を見据えて投入されたであろう、ハイパーエナジーをはじめとする各種軽減を封殺する1枚だ。

 るるるは一瞬天を仰いだものの、逆に決意を固めたか《バブル・ボール》《霊淵 アガルーム=プルーフ》を戦線に追加。ハイパーモード起動でパワー4000のブロッカーとし、墓地を肥やしつつ守りに入る。
 次の一手を打ちたいリキセキタクジンであるが、ここ一番で手札に艶がない。2ターン連続でチャージエンド。この隙にるるるは3体目の《霊淵 アガルーム=プルーフ》を立てて一斉ハイパー化し、《死神覇王 ブラックXENARCH》を墓地に落として《キャディ・ビートル》の効果が及ばないリキセキタクジンのターン終了時に蘇生する。

 こうなると主導権はるるるのものだ。《キャディ・ビートル》亡き今ハイパーエナジーもムゲンクライムも使い放題、《罪無 ターボ兆》《フメンダ=マジェンダ》から《爆藍月 スケルハンター》まで並べつつリキセキタクジンの手札を0にする。零れ落ちたなかには「プワジン」こと《料理猫のプワソン》が2枚。

 せめて一矢報いようとターンドローに望みをかけるリキセキタクジンだが……引き込んだのは《料理猫のプワソン》。2ターン目にマナに埋めた分と併せてなんと4枚目。これは神からの行き過ぎた寵愛の表れなのか。
 当然打てる策はなく、ダメ押しの《∞龍 ゲンムエンペラー》まで着地させたるるるの一斉攻撃でゲームセット。神の速度vs.鬼の鉄壁のDTL初戦は鬼の勝利に終わった。

WINNER:るるる

第4戦:はるる vs. ◆ドラ焼き

 ここからはFTGと魔王軍、首位争い真っ只中の2チームによる直接対決となる。
 先陣を切るのははるる◆ドラ焼き。この二人のマッチアップは前期1節・5節、そして後期1節に続いて実に4度目となる。リーグ開幕から約8ヶ月、激闘の歴史と共に因縁も熟成されつつあるようだ。

 先攻・◆ドラ焼きは≪「地獄まで我に従え」≫で動き出すが、はるるも≪カシス・オレンジ≫で応える。
 進化元を残すだけでドボンの可能性があるのが【光水闇マーシャル】の恐ろしいところだが、ここは《邪爪の魔法陣》で引きはがす◆ドラ焼き。返ったターンをはるるがチャージエンドで終えたところに、さらに《魔誕と光喜と楽識と炎怒と哀樹の決断》2ハンデスで詰め寄っていく。

 が、はるるも動じず、ドローゴーで手札の維持を最優先。続けて《ポジトロン・サイン》からの≪♥応援してくれるみんなが元気をくれ~る≫でハンデスを帳消しにする。

 この隙に有効打を通したい◆ドラ焼きではあるが、マナを伸ばしつつ《魔令嬢バロメアレディ》を出してターンを渡す。もう1ターン貰えれば《悪魔世界ワルドバロム》が決まるところまで漕ぎつけたものの……【光水闇マーシャル】がそんな甘いデッキではないことは、彼が一番よく知っている。

 後攻6ターン目、はるるはついに《エメラルド・クーラー》+《マーシャル・クイーン》をプレイ。手札3枚をシールドに埋め、初期シールド2枚と手札からの1枚を回収し……
 全て表向きに。《逆転の影ガレック》《逆転の影ガレック》≪♥応援してくれるみんなが元気をくれ~る≫!

回り出したらもう止まらない。Tier1【光水闇マーシャル】、DTLデビューの瞬間。

 墓地には既に2枚目の《マーシャル・クイーン》の姿がある。1体目の《逆転の影ガレック》で釣り上げ、2体目の《逆転の影ガレック》効果を温存しながら《邪魂転生》トリガーまで繋いで12枚ドロー。
  「ドラちゃんの前でマーシャルループしたくないんすよね……」と漏らすはるるだが、ここを取りこぼすような男ではない。積みあがった効果を的確に処理し、山札・墓地を濾過してループ準備完了。ライバル◆ドラ焼きを鮮やかに下した。

WINNER:はるる

第5戦:村井 vs. dotto

 直接対決2戦目、村井dotto両者とも締まった表情。
 既にデッキが割れている村井は「魔王の圧が出てくる前に退化したい」とのこと。既に相当の圧を放っているように見えるdottoだが……この程度はまだまだ序の口、といったところか。

 宣言通り、最速2ターン目に《禁断英雄 モモキングダムX》設置に成功する村井。3ターン目には《邪爪の魔法陣》で退化する選択肢も取れたものの、ここは焦らず《天災 デドダム》をプレイ。
 dottoのマナに《同期の妖精 / ド浮きの動悸》が見えており、《自然の四君子 ガイアハザード》に除去を飛ばされる可能性もあると踏んだのだろう。リソースを伸ばすことを優先した。

 が、その遅れを魔王は見逃さない。先んじて展開した《灼熱の闘志 テスタ・ロッサ》・《冥土人形ヴァミリア・バレル》らをハイパーエナジーの素材とし、4ターン目に早くも《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を出陣させるdotto。登場時の効果が解決され、村井はシールドと手札、《天災 デドダム》を墓地に置く。

 即座にこの《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》をシールドに向かわせ、墓地から《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》がバトルゾーンに。村井のキープした《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》を捨てさせてW・ブレイク。
 ……ここでS・トリガー《生魂転霊》! 《禁断英雄 モモキングダムX》を残した判断が功を奏し、dottoからの除去が当たらないタイミングで《自然の四君子 ガイアハザード》が姿を現す。スピードアタッカーを得た《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》が《天災 デドダム》効果を奪いつつ、最後のシールドを割ってターンが終わった。

 ギリギリで踏みとどまった村井はマナチャージして7マナへ。《聖霊超王 H・アルカディアス》を召喚しようとするものの、ここでdottoの用意したジレンマに悩まされることになる。

勝敗に直結する二者択一、たっぷり時間をとって検討する。

 まず《自然の四君子 ガイアハザード》のタップは必達。既にシールドは残されていない。
 そのための選択肢①、《自然の四君子 ガイアハザード》で《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を殴り返す。この場合、依然≪ド浮きの動悸≫を始めとする非クリーチャー除去に怯えることになる。
 あるいは選択肢②、《聖霊超王 H・アルカディアス》をハイパー化して《自然の四君子 ガイアハザード》をタップする。こちらは≪ド浮きの動悸≫をケアできるものの、《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》という眼前の難敵は残ってしまう。

 さらに頭が痛いのが《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》のスレイヤー能力。攻撃されれば《自然の四君子 ガイアハザード》か《聖霊超王 H・アルカディアス》のいずれかを犠牲にせざるを得ない。
 悪魔じみた2択の天秤、これが魔王の圧か。結局村井は②を選択し、ターンを終える。

 クリーチャーと呪文を制限されてはいるものの、dottoはゲームエンドへと動く。まずはマナチャージで6マナ。≪同期の妖精≫の召喚を宣言し、代わりにマナへ送られたことで7マナに追いついて《自然の四君子 ガイアハザード》のロックを抜け出す。前ターンに《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》で奪った《天災 デドダム》効果、その1マナ加速が活きた。

《冥土人形ヴァミリア・バレル》か《アーテル・ゴルギーニ》が落ちれば勝ちの場面。最後のピースがはまった。

 そして《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》で《自然の四君子 ガイアハザード》へ攻撃、再度《天災 デドダム》を奪い、墓地に《冥土人形ヴァミリア・バレル》を落とす!《聖霊超王 H・アルカディアス》がブロックするものの、これで事実上の決着。
 《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》から《忍蛇の聖沌 c0br4》経由でこれを繰り出し、《自然の四君子 ガイアハザード》を除去。魔王軍盟主が1勝を取り返した。

WINNER:dotto

第6戦:るるる vs. セキボン

 ここまでスコアは1-1、引き続き気の抜けない展開が続く。
 セキボンは前節での0-2を気にする様子も見せ、いつも以上に緊張した面持ちでゲーム開始。

 ……と思ったのもつかの間、先攻のセキボンがチャージしたのは《暴発秘宝ベンゾ / 星龍の暴発》!

いい笑顔。

 「知らん知らん知らん、知らんデッキ来た!」と爆笑するるるる、「頑張ろうね!」と言いつつもニヤつきを隠せないセキボン。お互い調子が出てきた。

 続くターンに≪カシス・オレンジ≫、さらに《キール・ロワイヤル》とプレイしたことで、セキボンのデッキは【光水闇暴発マーシャル】と判明。
 ひとまず先3での暴発を免れたるるるは《ツイン・シックス》×ハイパーエナジーで《「特攻」の鬼 ヨミノ晴明-1.0》を早出し。セキボンの手に《マーシャル・クイーン》がないことを確認し、《キール・ロワイヤル》を捨てさせる。

 果たして4ターン目、勝負に出るセキボン。《キール・ロワイヤル》をハイパー化し、メクレイドに全てを賭ける。
 「まあこれしかないね、多分」
 「マーシャルの王来るぞ、みんな見とけ!」
 復調の成否を占うメクレイドの結果は……

悲鳴と共に画面外へ。ワイプの画角が足りない場面も増えてきた。

 なんと、痛恨のスカ。《ツイン・シックス》こそ討ち取るものの、あまりにも苦しい結果となってしまった。

なんかこっち見てる。

 一方るるるはしたり顔。この機を逃さず《影邪盗霊》とタップキルで盤面を空にする。返すセキボンの《影世界のシクミ》→《キール・ロワイヤル》にも、ついに着地した《死神覇王 ブラックXENARCH》で難なく対処。

 ≪暴発秘宝ベンゾ≫素出しで最後の抵抗を見せるセキボンだが、出目は《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》で逆転には至らない。

 最終的にるるるが《死神覇王 ブラックXENARCH》2体と《超暴淵 ボジャガイスト》を使いまわせる体制を整え、ブレイク→ハンデス→ブレイク→ハンデスで反撃の目を摘みつつチェックメイト。
 勝ち目無しと踏んだセキボンの投了で試合終了。FTGがライバルに差をつけ、一歩前進した。

WINNER:るるる

第7戦:◆ドラ焼き vs. Zweilance

 【5cワルドバロム】vs.【水闇ハイパーエナジー】のマッチアップ。一見して速度で勝るのは【水闇ハイパーエナジー】側だが、現代の【バロム】には《魔令嬢バロメアレディ》がいる。各種バロム着地までにコンボ成立に至れるか。

 ◆ドラ焼きは≪「地獄まで我に従え」≫で動き出すが、Zweilanceが出鼻をくじく《「特攻」の鬼 ヨミノ晴明-1.0》を召喚。《ツイン・シックス》と《バブル・ボール》をフル活用したGame1同様の1ハンデス2ドローで《獅子王の遺跡》を引き抜く。

 構わずマナを伸ばす◆ドラ焼き、しかし再度《「特攻」の鬼 ヨミノ晴明-1.0》が襲う。今度は盤面を捌く《魔誕と光喜と楽識と炎怒と哀樹の決断》を捨てさせ、さらにハイパーエナジーをフル活用して《魔誕の斬将オルゲイト》、《霊淵 アガルーム=プルーフ》を並べてターン終了。《サイバー・J・イレブン》まで墓地に落とすブン周りを見せた。

 クリーチャーの処理を強いられる形の◆ドラ焼きだが、有効打を引き込めず。
 代案として《邪爪の魔法陣》でZweilanceの墓地から《サイバー・J・イレブン》だけを指定してデッキボトムに固定するテクニカルなプレイ。コンボの遅延を試みる。

 まだコンボパーツは揃いきっていないものの、◆ドラ焼きのマナが増えてきている以上行くしかない状況のZweilanceは《♪ハックより 一時ずらして じゅうとなな》を唱え、熟考の末13枚墓地肥やしを宣言。

確率的には優位でも、緊張せざるを得ない一瞬。思わず「っし」と安堵が漏れた。

 ここで見事に最後のキーパーツ《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》を落とすことに成功してコンボ開始。山札下から帰還した《サイバー・J・イレブン》を大量のクリーチャーが出迎え、本日二度目の特殊勝利を決めた。

WINNER:Zweilance

第8戦:dotto vs. マイケル

 第1節以来の対戦となる両者。そちらの試合でdottoは体調不良からのポカミス、マイケルは伝説的なまでの《悪夢神バロム・ナイトメア》2連外しという「とんでもないこと」をそれぞれやらかしている。
 今回はどうなることやら、色んな意味で注目せずにはいられない。

 3ターン目《冥土人形ヴァミリア・バレル》から動き出すdottoに対し、マイケルはたっぷり16投した初動が引けない不運に見舞われ動けない。

りっきーの提言でピン投されたという《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》、八面六臂の暴れっぷり。

 さらにdottoは《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》、Game2のMVP《漢気の2号 ボスカツ》を捨てさせて足止め。マイケルは4ターン目もチャージエンドとなる。
 完全にテンポを掌握したdottoは5ターン目に《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》召喚。ここは無理に攻めずターンを終える。ようやく《魔誕と光喜と楽識と炎怒と哀樹の決断》で除去に動くマイケルだが、動きのスケールに違いがありすぎる。

 果たしてdottoは《忍蛇の聖沌 c0br4》を召喚し、駆け付けた≪同期の妖精≫を蘇生して準備万端、一斉攻撃で2連勝。魔王のフルパフォーマンスを見せつけたのだった。

WINNER:dotto

第9戦:セキボン vs. リキセキタクジン

 【光水闇マーシャル】vs.【光自然ドリームメイト】。通常環境のセオリーに照らしあわせると、リキセキタクジンが駆る後者にやや分があるとされている。《キャディ・ビートル》らメタクリーチャーの搭載に《料理犬のヴィヤンドゥ》による起点の処理、そしてシールドを殴らずして勝てる《お目覚めメイ様》の存在などがその理由だ。

 先攻を取ったリキセキタクジンはそれを証明するかのような動きを見せる。まず1ターン目の《トレジャー・マップ》で《料理犬のヴィヤンドゥ》を回収して圧をかけ、2ターン目には《配膳犬のトレス》から《お騒がせチューザ》をキャッチ。

 進化元を置くに置けないセキボンがチャージのみでターンを終えると、《森夢のイザナイ メイ様》を召喚してハイパー化のコストに充てる。光臨から《激烈元気モーニンジョー》を持ってきて、《お騒がせチューザ》を出してターン終了。
 ≪星龍の暴発≫や《♪ハックより 一時ずらして じゅうとなな》など、大爆発につながる呪文が多い【光水闇暴発マーシャル】への対抗策とする。

 しかしセキボンも《キール・ロワイヤル》召喚で触れない進化元を用意することに成功した。《キャディ・ビートル》があればという場面だが手札にはなく、《料理犬のヴィヤンドゥ》を召喚するリキセキタクジン。ハイパー化で《森夢のイザナイ メイ様》《お騒がせチューザ》をタップしてターン終了、呪文ロックをかけた状態で《料理長のラビシェフ》に繋いでターンを終える。

 完璧ではないにせよ、かなり有利な状況に持ち込んだかに見えたリキセキタクジン。だが、結果的にこの《キャディ・ビートル》不在という間隙がセキボンに勝機を生んだ。《キール・ロワイヤル》進化《マーシャル・クイーン》。回収した3枚のシールドからは……《逆転の影ガレック》が2枚!

 まずは1体目で《料理長のラビシェフ》《お騒がせチューザ》を処理し、2体目で墓地肥やし2回と蘇生を選ぶと、そこには見えていなかった2体目の《マーシャル・クイーン》の姿が!

巧みなプレイにツキも乗った。「あるんだ」と本人も驚きの声。

 まだループは確定していない、と慎重に指差し確認するセキボン。2度目の《マーシャル・クイーン》から《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》≪星龍の暴発≫《ポジトロン・サイン》をトリガーさせ、《ポジトロン・サイン》が《邪魂転生》に届いて山札を掘り進める。
 そして≪星龍の暴発≫で出てきた≪暴発秘宝ベンゾ≫が踏み抜いたのは、事前に仕込んだ《マーシャル・クイーン》3枚目!

 これが≪星龍の暴発≫→《♪ハックより 一時ずらして じゅうとなな》に繋がり《逆転の影ガレック》を蘇生してエクストラターンまでもを確保。さらに《逆転の影ガレック》からは《マーシャル・クイーン》3体が同時に蘇る!

 ≪星龍の暴発≫によるトリガー付与の有無、《絶対華麗!マーシャル歌劇団》不採用故の微細なドロー枚数の調節など、複雑怪奇なコンボを一手ずつ着実に進めてゆくセキボン
 1体目の《マーシャル・クイーン》召喚から《冥土人形ウォカンナ・ピエール》フィニッシュまで実に25分。長々ロングゲームを渡り切り、セキボンが会心の勝利を収めた。

WINNER:セキボン

第10戦:フェアリー vs. ◆ドラ焼き

 ここからはサブリーダー戦。『悪魔神、復活』1BOXを用いて2デッキを作成、それぞれで1ゲームずつを行う変則シールド戦のフォーマットが舞台となる。

 最初にぶつかるのはFTG・フェアリーと魔王軍・◆ドラ焼き……YouTubeチャンネル「フェアリーch」にて日夜協同する二人である。
 意外なことに、DTLでこの対戦カードが組まれたのは初めてのこと。試合前は自然体でトークが進む。

ファン待望の対戦が実現。フェアリーchの画角外を覗ける貴重なチャンスに。

 が、試合開始後は一変、真剣そのものに。普段の動画とは一味違う、DTLというステージならではのガチンコ勝負が幕を開けた。

 多色カード満載の拡張パックでのシールド戦故か、両者とも5文明混成の構築となった模様。
 序盤は互いにクリーチャーを並べ合う展開となるが、《爆翠月 アカネ》《暴淵 ボップ=ギャラップ》でバトルゾーンを、《魔誕と光喜と楽識と炎怒と哀樹の決断》《魔誕人形ランラン》で手札を削ったフェアリーが一歩抜け出す。

 とはいえ◆ドラ焼きもマナを伸ばすことには成功しており、またシールド戦特有の山札切れによる敗北も次第に近づいてくる頃合い。《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》でボムレア筆頭《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を宣言した上で、8体並んだクリーチャーで殴り勝ちにいくフェアリー

 しかし、『悪魔神、復活』は強力なS・トリガーが多数収録されたエキスパンションでもある。はじめのW・ブレイクからは《魔誕妖精スイセン》と《魔誕哀樹シンバーロ》が現れて打点を減らす。
 ひるまず攻めるフェアリーだが、さらなるW・ブレイクから《光器マドレーヌ》がトリガー! 《ホーリー・スパーク》効果が炸裂し、ターンを返すほかない状況に。

 シールドこそ減らされたものの、S・トリガーからクリーチャーを並べて手勢は十分。ここからは◆ドラ焼きのターンだ。この展開を見据えてか温存していた《邪魔変》でヨビニオン、躍り出る《五輪の求道者 清永》。
 マッハファイターで《暴淵 ボップ=ギャラップ》に襲い掛かり、山札の上3枚を公開する。そこにはなんと《悪魔世界ワルドバロム》の姿が!

この上ない捲り方。思わず舞い上がってしまうような場面でも、◆ドラ焼きのプレイはブレない。

 他2枚は《邪爪の魔法陣》《光器マドレーヌ》だったため問題なく踏み倒せる状況。デーモン・コマンド5枚がバトルゾーンに揃っており完全顕現すら視野に入る場面だが、ここは頭数を減らさぬよう進化元を3枚に抑える冷静なプレイを見せる。

 《邪爪の魔法陣》で自身の山札切れをケアし、さらに《光器マドレーヌ》を《魔誕光喜エルバーロ》に突っ込ませてシールドを2枚に増やす◆ドラ焼き。勿論《悪魔世界ワルドバロム》で場を制圧することも忘れない。
 これでフェアリーのクリーチャーは《魔誕光喜エルバーロ》のみ、手札は0。一気に形勢がひっくり返った。

 今度は◆ドラ焼きが決めにいく番。S・トリガーを警戒し、安易にワールド・ブレイカーは動かさない。まずは《光器マドレーヌ》でシールドをさらに増やしつつ1点。ここでG・ストライク、《悪魔世界ワルドバロム》が止まる。
 攻めるべきか、留まるべきか。打点はリーサル+1、トリガー次第ではどちらに転んでもおかしくない微妙な状況だ。「DMロボット」◆ドラ焼きが弾き出した回答は……続行。《魔誕哀樹シンバーロ》でW・ブレイク。

ふたたび逆転。S・トリガーの強さが際立つエキスパンションだ。

 だが、逆転のチャンスは等しく与えられていた。S・トリガー、《魔誕妖精スイセン》&《魔誕の前兆》!
 《魔誕の前兆》が《魔誕妖精スイセン》《魔誕人形ランラン》を復活させたことで攻め手が全て除去され、ターン終了。再びフェアリーにチャンスが巡ってくる。

 既に見かけ上の打点は足りている状態だが、フェアリーは《邪尾の魔法陣》から《魔誕翔天マルピア》を繰り出して◆ドラ焼きのシールドをさらに詰める。
 ここで《魔誕神官ドルゴ・バーロウ》が飛び出し三度逆転か、と思われたが……バラバラエティ3は未達成。すんでのところで届かない。残るシールドにも回答はなく、ある意味この上なくデュエマらしいシーソーゲームを見事フェアリーが制した。

WINNER:フェアリー

第11戦:◆ドラ焼き vs. おんそく

 「いやマジでごめーん!」
 直前の敗北を振り返り、攻撃続行は判断ミスだったとチームに詫びる◆ドラ焼き。即座に切り替え、目の前の3ptsに集中する構えではあるものの、その後も先手後手を間違えてしまったりとかなりこたえているようだ。

 一方のおんそくはというと、第10戦での両プレイヤーのデッキ構築がやや気がかりな様子。いずれも5色デッキを使用していたが、これは言葉は悪いが余剰パーツで組まれたものではないか―――すなわち自分が対戦する2デッキこそ文明とカードを厳選して組まれた、FTG・魔王軍の本命なのではないかと推測する。

 果たしておんそくの読み通り、◆ドラ焼きが持ち込んだのは火水闇の3文明を基調として組まれたデッキ。高レア域に《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》《飛翔龍 5000VT》《魔誕の斬将オルゲイト》といった一線級のパワーカードを有し、またコモン帯に目を向けても除去とドローが多く地上戦に向いている。かなり強力なカラーリングだ。
 キャントリップの《魔誕楽識フミバーロ》、軽量除去の《魔誕炎怒アゲバーロ》などで立ち回りつつ、ハイパーエナジーの布石を打つ◆ドラ焼き

 一方のおんそくはというと、こちらは火闇タッチ光で同じく3文明に纏めているようだ。《ツルハシ童子》《鬼ヶ大王 ジャオウガ》など、再録された鬼札王国のカードもふんだんに採用しており、勿論こちらも《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》と噛み合う事だろう。序盤から《魔誕翔天マルピア》で自身のシールドを回収する動きも見せた。

 採用文明が近いためか動きも似通った両者。早期にハイパーエナジーから《「特攻」の鬼 ヨミノ晴明-1.0》を投げ合う動きに。◆ドラ焼きは《魔誕の斬将オルゲイト》を、おんそくは《トルネードシヴァ・ハイパーXX》を失い、互いに手札が先細りになる。

 だが、先にビッグアクションに到達したのは◆ドラ焼きだった。おんそくが《「双斬」の鬼 ウコン大丸&サコン大丸》《魔誕光喜エルバーロ》で手札を吐ききった返しに、《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を投げつける!

実況席、三重唱で悲鳴を上げる。おんそくも渋面を隠せない。

 おんそくも黙ってやられはしない。《魔誕楽識フミバーロ》のエスケープを《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》で墓地へ送られるシールドに適用することで、クリーチャーを1体多く残しつつシールド焼却にも抗おうとする。
 その意思に応えるかのように、シールドから駆け付ける《「飢餓」の鬼 バクロ大法師》!エスケープで使えないのはS・トリガーのみ。この場面での最適解と言える。

 G・ストライクで《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》が止まり、ターンを返す◆ドラ焼き。しかしおんそくもこれを除去するには至らず、《「飢餓」の鬼 バクロ大法師》《フライヤポスタ=エリザ》を並べてターンを返した。

 時間こそ稼がれてしまったものの、今度こそ◆ドラ焼きは攻めに行く。《魔誕炎怒アゲバーロ》を召喚して即座に攻撃に向かわせる。
 ……が、ここでバラバラエティ達成済みの《プーパン・リザード》を踏み抜いてしまう最悪の結果に。打点が足りなくなるばかりか、《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を失ってしまった。

攻撃順が違えば、という場面。「また俺のミスで負ける……」

 またしても踏み止まってみせたおんそく。しかし未だに決定打となるカードを引き込めず、《光器アメリア》でシールドを増やすのみ。
 それに対して◆ドラ焼きはターンドローで《超暴淵 ボジャガイスト》を引き当て、即召喚。最後の壁《魔誕光喜エルバーロ》を処理することに成功した。

 殴り勝つには1ターンでは足りず、かといって中途半端な攻撃は逆効果になりかねない。頼みの綱のトップデッキも有効打ではなかったようで、手札に抱える選択に。
 最後の守り・シールド2枚に奇跡を願うおんそくだったが惜しくも届かず、《魔誕楽識フミバーロ》がダイレクトアタック。ライバルFTGに続き、◆ドラ焼きが魔王軍に勝ち星を持ち帰った。

WINNER:◆ドラ焼き

第12戦:おんそく vs. フェアリー

 チーム全体の流れのためにも、ここで勝っておきたい両者。おんそくは追い上げるため、フェアリーは突き放すためと一見異なるように見える両者の目的だが、根底にある優勝への願いは変わらない。

暴れまわるキツネサイン。なぜか《超暴淵 ボジャガイスト》に見えてくるのは私だけだろうか。

 ……というシリアスな場面であるはずなのだが、こんなときでも遊び心を忘れないのがおんそく節。いやむしろ、これこそが「魅せて勝つ」プロフェッショナルの意志の表れなのだろう。

 序盤は最早鉄板と言える、お互いにクリーチャーを投げ合う展開に。5色デッキを使うおんそくが《爆翠月 アカネ》を繰り出して除去に乗り出し、数の優位を築いた。

 しかしフェアリーも《魔誕の騎士ザガーン》をプレイ、ヨビニオンから《巡霊者アパリシオ》を用意して巻き返す。FTGの本命は火光水3色デッキのようだ。
 おんそくは一旦《魔誕麗姫ピカドール》で手札を整えるが、この隙にフェアリーは《金天使 ウォン・ゴルギーニ》を召喚。《魔誕の騎士ザガーン》で付与されたヨビニオンにより《魔誕炎怒アゲバーロ》を繰り出すと、気づけば数の差は逆転している。

 厳しい展開が続くおんそく。《爆翠月 アカネ》で回収した《魔誕と光喜と楽識と炎怒と哀樹の決断》も、マナの文明が偏っており唱えられずにいる。あえなくチャージエンド。
 これを見たフェアリーは決着へと動き出す。ヨビニオンやドロー、シールド追加などにより既に残り山札はわずか、そろそろ詰めに行かなくてはならない時間だ。《爆藍月 Eine k’Reine》でブロッカーを排除し、パワーの上がった《金天使 ウォン・ゴルギーニ》でT・ブレイク。

 が、ここで《悪魔世界の閃光》がトリガーしたことで、逆転の予感が漂い始める。まずヨビニオンで《魔誕麗姫ピカドール》が登場。これが《魔誕の騎士ザガーン》をタップし、さらに《悪魔世界の閃光》がブロッカーを付与したことによってバトルゾーンだけでも受け切ることが可能になった。

 クリーチャーの損耗を狙うフェアリーはひとまず攻撃を続行。《魔誕麗姫ピカドール》と《金天使 クローネ・ゴルギーニ》を相打ちにし、シールドを全て割り切った。トリガーは無く、そのままターン終了。

 バトルゾーンにはおんそくの《魔誕麗姫ピカドール》と《魔誕楽識フミバーロ》。フェアリーのブロッカーは《爆藍月 Eine k’Reine》のみがアンタップ状態。唯一残された勝ち筋をおんそくはじっくりと検討し……マナゾーンに手をかける。

「まっ、人生賭けますか」

 《魔誕楽識フミバーロ》進化、《悪魔世界ワルドバロム》!即座に攻撃に向かわせ効果で水文明を指定、ジャストキルに持ち込んだ。今弾環境の象徴が、最後のワールド・ブレイクを炸裂させる。

するときもあれば、されるときもある。自分と相手の逆転は表裏一体だ。

 しかしその結末も、ヨビニオンで山札を一巡させたフェアリーには把握できていた。S・トリガー《プーパン・リザード》《魔誕麗姫ピカドール》、G・ストライク《斬斬人形コダマンマ GS》。
 またしても逆転に逆転を上書きし、フェアリー会心の2連勝。FTGが待望の首位に躍り出た。

WINNER:フェアリー

所感

 後期第3節を終えての順位は以下の通り。

 FTG、ついに前後期通じて初の単独首位。

 構築戦は先鋒でZweiLanceが2-0、中堅でdottoが2-0、大将でるるるが2-0を達成。チーム単位ではそれぞれ3勝3敗と、実は前後期通じて初めて勝ち点差がつかなかった節となった。
 dottoは新カード《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》をフィーチャーした新デッキを用い、、ZweiLanceるるるの使ったハイパーエナジー軸の水闇デッキは旧来の環境デッキである【マーシャル】【ドリームメイト】を下しての全勝である。
 新弾にいくつか用意されたギミックの中から強いものを選定して形に仕上げる、これをフルスポイラーが出て1週間という期間で……改めて各チームの構築力に脱帽である。

 しかし、差がつかなかったのは構築戦まで……逆転に次ぐ逆転が巻き起こったシールド戦では、フェアリーが6ptを持ち帰る大立ち回りを見せ、チームを単独首位に導いた。
 逆にここでのポイント獲得を狙いたかったSAGAはそれぞれのエースデッキをぶつけられる不運にも見舞われ、第2節までの不調を巻き返せない苦しい結果に終わってしまった。

 順位状況や勝ち点差を見てみると、前期第3節のFTGとSAGAがそのまま入れ替わったような形に見える。
 前期は第3節から順位が変動することはなかったが、最終結果は僅差に終わっただけにまだまだ各チームにとっては予断を許さぬ状況。第6節のリーダー戦も含めて、SAGAにもまだチャンスが残されている状況と言えよう。

あとがき

 お互いにマナを支払って行動していく中で、攻撃を受けることに伴ってコストの踏み倒しが発生する……。
 デュエマ最大の醍醐味であるシールド・トリガー。それはリミテッドという原始的な領域になればなるほど絶大な威力を発揮することが、サブリーダー戦のシールド戦で十二分に示されることとなった。
 振り返れば、エースデッキ2つをぶつけられたおんそくにも十分なチャンスは用意されていた。《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》や《魔誕の騎士ザガーン》といった圧倒的なボムレア2種に対して、最後まで逆転の勝ち筋が残されていた……そのきっかけはどちらもシールド・トリガーからだった。

 まさに、「逆転こそが、カードゲームだ。」である。
 デュエル・マスターズを極め、このゲームの顔として活躍するDTL選手がこのゲームを体現するかのような試合を見せた

 ……だが、逆転だけがデュエマの魅力ではないのだ。第4節では間違いなくデュエマのそういった側面が見られるだろう。

発表の瞬間、誰かが「やだ~!!」って言ってた。

 ……いや、もう1回冷静に考えたけど、マジで?

執筆担当
クイックカバレージ……たけじょー
その他……イヌ科

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