来たる10月18日(金)、いよいよDTL後期第1節が開催されます。
新弾発売前日にしてDMGPの1週間前というタイミング、そして今回の題材はあの「デュエキング」シリーズ最新作、強力な新規カードが目白押しです。DTL後期の幕開けを飾るに相応しいシチュエーションと言えましょう。
本記事では開幕に先立ち、第1節の注目ポイントをおさらいしていきます。
特殊レギュレーションによる固有のメタゲーム
レギュレーション:
アドバンス
「天下夢双!!デュエキングDreaM2024」のカードを各チームで合計30枚以上・1回の対戦に2種類以上または4枚以上採用しなければならない(超次元ゾーン・超GRゾーンを除く)
今期の構築レギュレーションは以上の通り。新弾のカードを必ず採用しなくてはならない都合上、従来の構築をそっくりそのまま持ち込むことは出来ない。
また同時に、チーム全体での採用枚数下限も課されている。3人でまんべんなく数を賄うのか、あるいはあえて偏らせてデッキ選択に幅を持たせるのか……このあたりにもチームごとの方向性が見えてくるかもしれない。
フォーマットはアドバンスとなっており、オリジナル以上にアグレッシブで多彩なゲーム展開が予想される。アドバンスならではの外部ゾーンを巡るやり取りも多種多様なため、各選手の蓄積してきた知識と技量が試されることとなるだろう。
前期の特殊レギュレーション節に引き続き、新環境の嚆矢となる戦いが繰り広げられるに違いない。
強力な新規カードが多数参戦
すっかり秋の風物詩として定着しつつある「デュエキング」シリーズ。その名に恥じないパワーカードを多数輩出し、対戦環境のカンフル剤としてメタゲームに衝撃を与え続けてきた。
またアドバンスフォーマットは通常弾で長らくフィーチャーされていないが、当シリーズは外部ゾーン関連の新規カードが収録される数少ない機会としても知られている。
ここからは数ある新カードのうち一際その活躍が期待されるものを取り上げていく。アドバンスレギュレーションでの開催ということもあり、そのフルスペックをいかんなく発揮してくれるはずだ。
《夢双龍覇 モルトDREAM》
長らくアドバンス環境に存在しつづける【モルトNEXT】、その顔たる「モルト」が新たな姿となって帰ってきた。
着地さえすれば無条件でドラグハートを呼び出せるため、従来の《超戦龍覇 モルトNEXT》や《爆炎龍覇 モルトSAGA》以上に≪「助けて!モルト!!」≫による早出しと相性が良い。正しく過剰防衛だ。
また【モルトNEXT】の抱えていた《ポッピ・冠・ラッキー》などによるドラグハート封じに弱いという弱点を、基礎スペックだけで6打点を形成できるというあまりにも力押しな解決策で補える点も見逃せない。
過去の「モルト」と同等以上の火力に加えて早期の押し込み力とメタへの対応力を兼ね備えた、ドラゴン・ドラグナー系デッキの新たなフィニッシャー候補と言える。単体完結の《超戦龍覇 モルトNEXT》、応用力に長けた《爆炎龍覇 モルトSAGA》と使い分けていく形となるだろう。
サンプルリスト
上に挙げたそのものズバリの【モルトNEXT】から《流星のガイアッシュ・カイザー》での軽減が狙える【ガイアッシュ覇道】など、ドラゴン基盤およびドラグハートを扱う様々なデッキに採用される可能性がある。直近で主流の【火光自然モルトNEXT】であれば《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》との同時投入も視野に入るかもしれない。
また、《新世代龍覇 グレングラッサ》《新世代龍覇 グレンタレット》と組み合わせた新たな【ドラグナー】の成立にも期待が寄せられる。《新世代龍覇 グレングラッサ》はドラグナーシナジーを意識せずとも取り回しがきくS・トリガーであるため、ビートダウンへの対抗策としてこちらが単体で使われるケースも十分あるだろう。
《頂上混成 BAKUONSOOO8th》
ブレイク→GR召喚→ブレイク→GR召喚……を繰り返してワンショットを狙う、超天篇からの刺客。
GR召喚のタイミングがS・トリガー宣言の後であり自身もEXライフを持つため、生半可な受けには屈しない貫通力を誇る。なんと流行りの《深淵の逆転撃》すら《禁時王秘伝エンドオブランド》で咎められるのだ。
《“必駆”蛮触礼亞》から最速3ターン目に射出されることを考えるとなにかしらの対策は必須となってくるだろう。受け止めるのであればプレイヤーに効果を及ぼす≪「すべて見えているぞ!」≫などのトリガーか、シールドがなくなり打点が伸びなくなった後の革命0トリガー・鬼エンドが選択肢となる。【モルトNEXT】における《革命の絆》の価値は更に高くなりそうだ。
一方でEXライフこそ有するものの、攻撃自体を制限されたりGR召喚を禁止されたりするとあっさり止まってしまうところもある。デッキビルダーの腕の見せ所になるだろう。
環境のゲーム速度を定義づける、対策必至の新デッキタイプを成立させることが予想される。
サンプルリスト
1、2コスト帯で手札を整え、3ターン目の《“必駆”蛮触礼亞》+《頂上混成 BAKUONSOOO8th》の成功率を高めることに重きを置いた構築。多少の妨害なら《時を戻す水時計》で対抗できる。
GRクリーチャーは攻撃力に長けたものをチョイス。《暗黒の騎士ザガーン GR》には《時空の禁断 レッドゾーンX》をP侵略させることが可能だ。新弾で登場した《ボルシャック・ドラゴン GR》も頼もしい打点として活躍が見込まれる。
万一《激痛の次男 カラ松》の使用が許可された場合、サングラス姿の選手を拝める貴重な機会となることだろう。
《頂上電融 クライアッシュ”覇星”22》
最早おなじみとなった【ガイアッシュ覇道】の名コンビが、まさかの形で新登場。
一見重めの10コストだが、その実あらゆる角度から早出しが狙えるように設計されている。
B・A・D4とEXライフの掛け合わせで6コストで召喚でき、原典の《流星のガイアッシュ・カイザー》も添えれば3コストまで軽減が可能。現代デュエル・マスターズにおいて、二桁のコストを持つことにはそれだけでメリットがある。
ドラゴン参照の踏み倒しに対応しているのは勿論のこと、なんと《“必駆”蛮触礼亞》からも飛び出す。こちらも支払うコストは3で済む。
そして一たび場に出てしまえばスピードアタッカー・マッハファイターで攻め込みつつ、2枚ドローによる後続の補給とクリーチャーの踏み倒しに反応してターンを飛ばすロックを押し付けていく。
間違いなく強力な1枚だ。
ただしロックを及ぼす範囲が限られているため、対面によってはあっさり退場させられてしまうことも。
コストに比してサイズも控えめであり、また1枚で制圧済みの盤面をひっくり返すほどの能力も持ち合わせていないため過信は禁物。見かけ以上に繊細な取り回しが必要になるだろう。
相手が動き出す前に繰り出してペースをつかみ、その隙にメインアクションを繰り出すような運用が予想される。
サンプルリスト
【ガイアッシュ覇道】を拡張する形で構築。《頂上電融 クライアッシュ”覇星”22》を中継点として本家《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》に繋いでいく。
チーム全体の採用下限に貢献するため、積極的に新規カードを盛り込んだ形の構築となっている。ドラゴン基盤ならではの柔軟性と言えるだろうか。
《再興王女プリン》
スピードアタッカーとジャストダイバーを併せ持つ、「下バイク」界の期待の新星。
【レッドゾーン】の歩んできた長い歴史の中でも、4コストでこの効果を実現したのはこのカードが初である。
ジャストダイバーを引き継いでの侵略は言うまでもなく強力であり、《禁断の轟速 ブラックゾーン》や《覇帝なき侵略 レッドゾーンF》が選ばれない状態で突っ込んでくる。仮に仕留め損ねても《邪帝斧 デッドアックス》の餌食にならないところも嬉しいポイントだ。
また、《覇帝なき侵略 レッドゾーンF》を乗せつつ攻撃→《再興王女プリン》に退化してターンを返すと、ジャストダイバーで生き残った上で超次元ゾーンからエイリアンを呼び出せる。《超次元の王家》や《STARSCREAM -ALT MODE-》、《ハイドラ・ギルザウルス》《小結 座美の花》まで、種族を活かした様々な打ち筋を用意できるだろう。
難点としては文明と種族が挙げられる。昨今主流の火闇t水の【レッドゾーン】ではプレイが困難であり、また《ドキンダムの禁炎霊》にも対応していない。
フルスペックを発揮するためには構築を寄せる必要があるが、それに見合った突破力をもたらしてくれるだろう。
サンプルリスト
《再興王女プリン》を手札からプレイできるよう水文明の枚数を増量。《忍蛇の聖沌 c0br4》+《アーテル・ゴルギーニ》のパッケージを搭載して踏み倒しを狙う選択肢もあったが、今回は《超次元の王家》の採用を優先した。
【レッドゾーン】以外にも【ロイヤル・エイリアン】での活躍も見込まれる。《ロイヤル・エイリアン ~熱奏のファーザー~》との相性は抜群であり、容易に《魅惑のロイヤル・エイリアン》を着地させることができるだろう。
《悪夢神バロム・ナイトメア》
目玉たるドリームレアからはこの一枚。黙示録デッキと王道篇第4弾に先駆けて、悪夢をもたらす魔神が再臨した。
ダイレクトアタックのタイミングで山札の下を墓地に置き、デーモン・コマンドなら踏み倒しつつ即座に進化。非デーモン・コマンドを対象に復帰しづらい超次元への範囲除去を放つ。
自身のタップを条件に相手クリーチャーをタップインさせる効果も持つため、相手が手札に即時打点を抱えていてもそう簡単には沈まなくなる。防御的ではあるがスペックは十二分だ。
搭載するなら【火光闇ドルマゲドン】あたりだろうか。
進化条件にデーモン・コマンドを要求するため《魔光神官ルドルフ・アルカディア》とは噛み合わないが、《混沌の獅子デスライガー/カオス・チャージャー》と併せて採用することでもう一段階強固な防御手段を備えたデッキとなる。
直近のアドバンス環境では見かけないデッキとなっていたが、これを機に第一線に舞い戻れるか。
いまひとつパーツが揃いきっていない印象もあるが、【ターボドルバロム】の流れを汲んだ純正デーモン・コマンド構築も見てみたいところ。通年でプッシュが続いている「夜の四天王」サイクルとの化学反応にも期待したい。
サンプルリスト
【火光闇ドルマゲドン】に組み込んだ構築。
《カオス・チャージャー》や≪ギャラクシー・チャージャー≫であらかじめ山札下にデーモン・コマンドを固定することで、確実に《悪夢神バロム・ナイトメア》を着地させることが出来る。
《悪夢神バロム・ナイトメア》の踏み倒しは召喚扱いではない為《Forbidden Star~世界最後の日~》下では封印を外すことが出来ないことに留意が必要。
《聖魔連結王 ドルファディロム》とは全体除去という点で役割が重複してしまっているものの、単体スペックが圧倒的なために共存させている。
既存デッキの動向にも注目
ここまでは新カードを中核に据えたデッキを取り上げてきたが、既存の強力デッキたちの動向からも目が離せない。
オリジナル・アドバンス問わず大暴れ中の【火光闇ファイアー・バード】は《超えるメラッチ》を獲得。
火/水という文明こそ噛み合わないものの、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》方式の踏み倒しメタとジャストダイバーを兼ね備えている。
これを4枚搭載すれば今回のレギュレーション下でも【火光闇ファイアー・バード】が使用可能になる、というのは一考の余地があるだろう。
一方でアドバンス特有の強豪として知られる【闇単零龍XENARCH】・【水闇卍夜】には目立った新規の加入はなし。
それぞれ採用したいカードの特性がかなり先鋭化しているため、ノイズとなるカードを搭載してまで使用するとは考えづらい。グランプリ前の束の間の休暇となりそうだ。
特定のデッキに縛られずに活躍が見られそうなカードとしては《蒼き夢双 ドギラゴン天》。
新たな革命チェンジ先としてあちこちに出張でき、ドラゴンを主体とする【モルトNEXT】【ガイアッシュ覇道】【ドラグナー】などで活躍が見込まれる。
極論、《龍后凰翔クイーン・ルピア》や《超重竜 ゴルファンタジスタ》、《蒼き覚醒 ドギラゴンX》などからもチェンジ可能なのだから驚きだ。
総じて既存デッキにも新たな風は吹きつつあるが、やはりこのレギュレーションでは肩身が狭い印象を受ける。新カード・新デッキが織りなすメタゲームの中で居場所を見つけることができるか。
新たな選手、新たな舞台
DTLを語るうえで外すことのできない選手とチーム。今回はメンバー入れ替え直後ということもあり、新規加入選手と移籍選手に大きく注目が集まる。
FTGにはあーくん・はるるが加入。新設されたサブリーダーにはフェアリーが着任した。前期でワンパン小僧の名を轟かせたはるるは勿論、GP準優勝の栄冠が記憶に新しいあーくんの戦いぶりも大きな見どころとなるだろう。
また後期第6節ではリーダー同士の特別戦が予定されており、これまで司令塔に徹してきたflat-がついに前線に出ることとなる。これがチーム全体にどのような影響を与えるか、早い段階から目を向けておくと面白いかもしれない。
前期は開幕で大きく水をあけられてしまったものの、驚異の差し脚で凄まじい追い上げを見せた。リベンジに向け、好スタートを切ることが出来るか。
魔王軍は3チームで唯一のメンバー変更なし。半年間の戦いを通じて蓄積されたノウハウをそのまま反映できる点は有利と言えよう。デッキ調整から使用者の配分、そしてプレイングに至るまで、前期以上の精度と密度を兼ね備えた形に仕上がってくるはずだ。サブリーダーには「DMロボット」◆ドラ焼きが任命されている。
わずか2ポイント差で優勝を逃した前期。「魔王」dottoの旗のもとに、玉座奪還に向けた進軍が始まる。
そして前期王者のSAGAは大規模なメンバーチェンジを敢行。リーダーZweiLance、サブリーダーおんそくを除く3人―――リキセキタクジン、マイケル、にわか―――を新たに迎え入れた。個性豊かな新戦力がチームに、そしてリーグ全体にどのような影響を及ぼすのか、目が離せない。大きく構造が変化したチームを纏め上げるリーダーの手腕も試されることだろう。
FTG、魔王軍の猛追をかわしきって掴んだ前期の優勝。二冠の栄光に向け、新生SAGAが動き出す。
記事執筆時点では出場メンバーは発表されていないが、この選択も見逃せない。チームと舞台に馴染んだ古参選手を繰り出し、安全にペースを掴みに行くか。あるいは視聴者の期待に応えるべく、特色を読まれづらい新戦力で奇襲をかけるか。
まずは第1節、初戦をものにしてスタートダッシュを成功させたいところだ。果たして各リーダーの采配やいかに。
なお、当記事の公開に先立って各チームの中核メンバーを招いた対談記事 ZweiLance × dotto × フェアリー「DTL前期を終えて」 が公開されている。
選手自らが前期を総括し、後期への意気込みを語る様子が収められた貴重なテキストとなった。当記事と併せて、後期DTLへの思索を深める一助となれば幸いだ。
固有のレギュレーション、強力な新カード、そして装いも新たに集った選手たち。
DTLならではのエッセンスをふんだんに盛り込み、後期第1節の幕が上がる。
逆転を目に焼き付けろ。
画像出典:DM24-EX2 「天下夢双!!デュエキングDreaM2024」商品ページ
https://dm.takaratomy.co.jp/product/dm24ex2/
deckmaker
https://deck-maker.com/dm/decks/
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