未開の地における衝撃こそ、観測者を熱狂させる。デュエチューブリーグ後期第4節を終えて。

DTL

 《ラッキー・ダーツ》解禁祭に合わせて……というレギュレーションではあるが、正気を疑った視聴者がほとんどだろう。無論私もその1人である。
 DTLという競技最高峰の舞台で1t「ダーツデリート」なんて起きようものなら……私はいったい何のためにこのサイトを立ち上げたんだ!!と叫んでしまうかもしれない。

 だけれど……よく考えてみれば、我々のほとんどが、殿堂ゼロのことをよく知らないのではないだろうか。
 《ラッキー・ダーツ》がヤバいとか《母なる大地》がヤバいだとかくらいは知識として持っているが、どのようなデッキが存在して、どのような環境が形成されているのか……これは普段から殿堂ゼロで遊んでいるプレイヤーしか知らないのだ。

 その殿堂ゼロを半年ほど前から遊び始め、環境の開拓に貢献したプレイヤーが知人にいるのだが……彼の殿堂ゼロ解説記事から、この言葉を引用して、今回の振り返りを始めていこうと思う。

誰もやらんフォーマットでそんな書くことあるのかと思ったそこのアナタ。
逆に考えてみてください誰もやってないんです。

それだけ手を加える部分が想像以上にありました。

【殿堂ゼロ】2024年秋~冬期環境考察&解説より

後期第3節までの状況、環境予想

 構築戦ではそれぞれ3-3だったが、サブリーダー戦でFTGが大きくリード。前後期含めて初の単独首位に立つと同時に、SAGAにとっては厳しい順位状況となってしまった。

 今節について、flat-工房blog内ののすけ選手の事前予想記事及び、殿堂ゼロ界隈有志による多数の参考記事より環境を予想。

  • Tier1は【転生ヤドネ】【ヒラメキウォズレック】などの3キルソリティア。
  • チーム内で1人は《ラッキー・ダーツ》を使わなければいけない以上、それの対策はマスト。各々《禁断 ~封印されしX~》を入れるなどして対策をしてくるだろう。
  • 軽量メタクリ、とりわけ環境に刺さる《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を軸としたメタビート気味のデッキも存在。【BAKUONSOOO】や【マジック】などは出力も十分。

 さて、今までの記事ならここで出場選手とそのデッキ解説を挟んでいたところだが……。
 今回に関しては先に試合を見てもらった方が早い。その方が、殿堂ゼロの魅力を伝えられるだろうから。

クイックカバレージ

第1戦:セキボン vs. ZweiLance

 ZweiLanceといえば【サガループ】。チーム名の由来ではないのか……というほどお気に入りのデッキだし、今回のレギュレーションで披露される可能性も少なくはない。
 対戦前からセキボンは「サガでしょ?」と駆け引きを始めるが、ZweiLanceは毅然として「SAGA(サーガ)です」と否定。
 ……SAGAの読み方は諸説あるが、リーダー曰くサーガらしい。

 さて、試合はセキボンが《アーテル・ゴルギーニ》をセットしたことから始ま……

《ラッキー・ダーツ》を撃っても撃たれても動じない。この日のために練習してきた彼らにとって、この光景は最早当たり前。

 早速。

 《禁断 ~封印されしX~》を置いていないことから油断していたが、ZweiLanceの使用デッキは《オールデリート》に依存していない【ダーツ】だろう。
 これが≪「未来から来る、だからミラクル」≫3ドローからの《ポジトロン・サイン》、上4枚からは《ロジック・サークル》で《ラッキー・ダーツ》を固定。この《ラッキー・ダーツ》で勝負は決まらなかったものの次弾を装填。

 先攻2tのセキボンの動きは≪ウォズレックの審問≫。
 本来サーチカードに対して強力なはずのピーピングハンデスだが、今回ばかりは相手が悪い……デッキトップに固定された《ラッキー・ダーツ》を撃ち落とせない。
 ここで《エターナル・ブレイン / ブレイン珊瑚の仙樹》や《マーシャル・クロウラー》などの特徴的なカードが見える。《オールデリート》を廃してこれらのカードでチェインする戦略だろう……というところまで確認したセキボンは《エターナル・ブレイン / ブレイン珊瑚の仙樹》を落としてターンを終了し……。

 ZweiLance、満を持して2発目の《ラッキー・ダーツ》。
 これが《ホーガン・ブラスター》を発動、さらなる《ホーガン・ブラスター》………

勢いよくなるのも頷ける。

 《ラッキー・ダーツ》のもうひとつの相棒としておなじみであろう、デュエマに存在するカードの中でも、とりわけ1枚でゲームを破壊してしまう呪文……
 《煌銀河最終形態 ギラングレイル》!!

 セキボンのデッキでは《“魔神轟怒”ブランド》率いる12体のGRクリーチャーによる攻撃を受け切ることは到底不可能。これが後攻2ターン目の出来事である。
 これが、殿堂ゼロだ。

WINNER:ZweiLance
 

第2戦:dotto vs. おんそく

 おんそく、どうやら今回の収録に遅刻してきた様子。
 後期の戦績0-4と絶不調に遅刻が重なり、ダメージを受けたメンタルをdottoが戦前から攻撃。普段柔和なdottoが遠慮なくからかえることから、2人の仲の良さが伺い知れる。
 殿堂ゼロということで、いつもよりも激しめのじゃんけんをdottoが制し……

 先攻1ターン目、《ポジトロン・サイン》セット、《ロジック・スパーク》。
 場には《禁断 ~封印されしX~》、これが意味するところはつまり―――dottoの使用デッキは今節の花形、【ダーツデリート】だ。非公開領域のチェック後、《ラッキー・ダーツ》を固定して終了。
 2ターン目に何かが起こってもおかしくない場面だが……令和の殿堂ゼロは一味違う。それがおんそくの使うデッキともなれば、なおさらだ。

《完璧妖精サエポヨX》セット。事前データにないカードに、dottoも気が抜けなくなってきた。

 先のゲームを決定づけた《煌銀河最終形態 ギラングレイル》を封じる後攻1ターン目《とこしえの超人》、さらに《オールデリート》を封じるため、おんそく側にも《禁断 ~封印されしX~》。
 dottoにとっては《ラッキー・ダーツ》を撃つ前に当たり2種が封じられてしまった。ここで当たりになりうるカードは≪にゃんこ砲発射!≫くらいしかないのではなかろうか。
 勝つためには《ラッキー・ダーツ》を撃つしかないが……捲られたシールドからは何も撃たずに終了。ゲームの趨勢は一気におんそく側に傾いた。

 そしてここが殿堂ゼロである以上、メタクリーチャーを操るおんそくのデッキも生半可なものではない。《水上第九院 シャコガイル》セットから《ベイB ジャック》、さらに≪同期の妖精≫。
 ≪同期の妖精≫下の《とこしえの超人》によって《にゃんこ砲発射!》までケア、おまけに2017年環境を支配した緑の悪魔まで……おんそく操る殿堂ゼロ仕様の【水自然ジャイアント】が、後攻2ターン目にして盤石の布陣を作り上げた。

 こうなるとdottoの勝ち筋は相手ターン中の《オールデリート》しかないのだが……その対策も万全。
 《水上第九院 シャコガイル》フィニッシュのこのデッキにおいてドロー要員は十分。万能の掘削要員たる《五番龍 レイクポーチャー ParZero》、軽減とドローを兼ねる《アシステスト・シネラリア》が2枚……。
 そして通常環境でお目にかかれない、デッキトップのジャイアントが召喚可能となる《四番鯨 リビングハザード ParSum.》!!

これが令和のジャッククリスタバーナイン。

 《アシステスト・シネラリア》2体によって2軽減、《四番鯨 リビングハザード ParSum.》による無尽蔵のリソース、そして出てきたクリーチャーは《ベイB ジャック》によって即座にマナに変換される。
 トップから1マナの≪同期の妖精≫がこれでもかというほどに並び、《完璧妖精マリニャンX》によってさらなるロック、《とこしえの超人》の2体目も立つ……。
 未開拓であった殿堂ゼロの【水自然ジャイアント】は、かつての【光自然ジャックメタリカ】がそのままアップデートされたような、メタクリーチャーとソリティアを兼ね備えたデッキとして完成されたのだ。

 もはやおんそくにとっての懸念点は残りの《水上第九院 シャコガイル》が非公開領域に吸い込まれていないかだけだったが……《五番龍 レイクポーチャー ParZero》で一周したデッキの中には《完璧妖精サエポヨX》。
 そのハイパーモード起動により《水上第九院 シャコガイル》がマナから降り立ち、デッキを掘り尽くして完勝。チームメイト、マイケルとの共作で作り上げた新デッキが殿堂ゼロ環境に爆誕した瞬間だ。

WINNER:おんそく

第3戦:りっきー vs. にわか

 おんそくの新デッキに衝撃冷めやらぬ中、ここで同級生対決。
 りっきーは第1節に引き続き《激痛の次男 カラ松》用のサングラスを持ってきたり、猫仕様の《時空の戦猫シンカイヤヌス》を持ってきて《漆黒の四男 一松》をアクティブにできないかなどをジャッジに確認……サービス精神が旺盛なのか単に変なやつなのかわからなくなってきた。

 試合はお互いにスローペースなスタート。後攻3ターン目りっきーの《緊急プレミアム殿堂》という正真正銘殿堂ゼロでしか使えないカードからスタート。
 にわか操る【ヒラメキウォズレック】の肝となる《蒼狼の大王 イザナギテラス》を宣言。このまま自分の《蒼狼の大王 イザナギテラス》を通して後攻4ターン目のコンボ勝利を狙うが……。

 にわかも黙ってはやられない。殿堂ゼロ環境に強烈に突き刺さる《奇天烈 シャッフ》3宣言!

勝利のスリーピース。

 りっきーが扱っているであろう【ヒラメキウォズレック】における動きの要は全て3コストの呪文……それらが撃てないということは事実上の勝利宣言。なんなら先ほど撃った《緊急プレミアム殿堂》ですら使い回せない事態に。
 結局りっきーは何もできず、にわかは先のターン封じられた《蒼狼の大王 イザナギテラス》を着地させる。

 そして、【ヒラメキウォズレック】における《蒼狼の大王 イザナギテラス》召喚とは、イコール勝利なのであった。
 《母なる大地》《母なる紋章》によって《蒼狼の大王 イザナギテラス》が使いまわされ、《ヒラメキ・プログラム》から《アーテル・ゴルギーニ》、さらなる《ヒラメキ・プログラム》から≪サイバー・K・ウォズレック≫が呼び出され……。数多の凶悪カードでデッキが回転していく。

 殿堂ゼロTier1と言われるこのデッキにおいて、ここからは何事もあるはずがない。当然のように無限≪サイバー・K・ウォズレック≫ストックからの≪水晶の祈り≫ループまで到達。
 ここまで不振だったSAGA、ついに魔王軍から星3つを奪取。

WINNER:にわか

第4戦:フェアリー vs. セキボン

 《ラッキー・ダーツ》解禁祭に先立ってデュエチューブ内で行われた、「ラッキー・ダーツ王決定戦」。
 そこで優勝し、見事「運王」の称号を手にしたのがフェアリーである。

最近この画像だけ1人歩きしている気がする。

 そして、「運王」が「運王」たる所以がDTLにおいても発揮されることとなる。

先刻は平静を装っていたセキボンもさすがにこの表情。またかよ~!

 本日初の先1《ラッキー・ダーツ》。これで「ダーツデリート」なんて決まった日にはとんでもないことになってしまうが……
 ここは《ホーガン・ブラスター》⇒《ポジトロン・サイン》⇒《ロジック・サークル》。さすがに先攻1ターン目にゲームが決まることはなかったが、セキボンは《ベイB セガーレ》を出すしかやることがない。

 そして、「運王」の2発目《ラッキー・ダーツ》……ここでは《ロジック・サークル》。
 セキボンが「随分焦らすね~!」と苦笑する中……ここで異変発生。

まさかの事態に巨匠もこの顔。「不在助かる!!」

 なんと残り2発の《ラッキー・ダーツ》が全て非公開領域へ吸い込まれていた。
 「運王」もまさかの事態に頭を悩ませる。このままではセキボン操る【ヒラメキウォズレック】の《蒼狼の大王 イザナギテラス》ターンに全く間に合わない……。
 いったん《ホーガン・ブラスター》を確保し、先攻5ターン目が来ることを待つが、【ヒラメキウォズレック】がそれを許してくれるはずもない。

 後攻1ターン目に設置された《ベイB セガーレ》にはメタ効果以外にもうひとつ役割があった。《フェアリー・Re:ライフ》でブーストを行ったのち、《母なる大地》の種となり《アーテル・ゴルギーニ》降臨!
 《蒼狼の大王 イザナギテラス》に動きを依存しているデッキだが、そこにアクセスする手段はこのように多彩。4肥やし蘇生を選択し……。

雲行きが怪しくなってきた。

 《蒼狼の大王 イザナギテラス》が捲れず、《シェル・アルカザール》を蘇生するしかなかった。ここまではいい。
 しかしもうひとつ事件が発生……おそらく3投であろう≪サイバー・K・ウォズレック≫が2落ち。デッキ内にもう≪サイバー・K・ウォズレック≫がもう残っていない可能性が浮かび上がってしまったのだ。

 とはいえ、フェアリーの手札に《ホーガン・ブラスター》が加わっていることからデッキに≪サイバー・K・ウォズレック≫を返す時間はない。後攻4ターン目の動きは、悩みに悩んだ末に《終斗の閃き マトリクス》から《ヒラメキ・プログラム》。
 《アーテル・ゴルギーニ》指定、置換で《終斗の閃き マトリクス》を破壊し―――

うわーーーー!!!!!!!

 ≪サイバー・K・ウォズレック≫、盾落ち。
 いったん《ヒラメキ・プログラム》で全て見えた山札をチェック。フェアリー巨匠によるデッキ診断も挟まり……もう情報量が多すぎてわからなくなってきた。

 もう勝ち筋はこれしかない。《アーテル・ゴルギーニ》攻撃時、チェンジ《蒼き覚醒 ドギラゴンX》でフェアリーのシールドを全てブレイク。
 そして……回ってくるはずのなかった、先攻5ターン目が回ってきてしまった。

 5マナタップ、《ホーガン・ブラスター》。
 当たりは《オールデリート》、《煌銀河最終形態 ギラングレイル》、《侵略開始!! にゃんこ軍団/にゃんこ砲発射!》の3種類。

 運命を賭したシャッフルが始まり―――

もう祈ることしかできない。
「じゃん、けん、ぽん!」「……何が!?」

 いっせーのーで―――

 ―――奇妙奇天烈な試合の行く末は、《ロジック・サークル》捲れによって決着。「運王」、敗れる。

WINNER:セキボン

第5戦:あーくん vs. dotto

  dottoがかつて語っていた持論のひとつに、「自然文明が入ったデッキは嫌い」というものがある。
 《フェアリー・ライフ》のような初動としてしか役割を持てないカードが序盤から終盤にかけて事故の元となってしまい、プレイ要素が介在せずに負けてしまうのが嫌……ということだ。(10年ほど前の話なので、《天災 デドダム》等がリリースされて以降はわからないが……)

 そのdottoがなんと【ダーツデリート】を持ってきた。運ゲーを嫌うdottoが、満を持して運ゲーの極致に挑もうというのだ。
 先のゲームは不振に終わり、ここで取り返したいところ。
 しかし、対するあーくんのデッキにも《禁断 ~封印されしX~》が入っており《オールデリート》が封じられている。何やら嫌な予感が……。

 果たしてその予感は、もっともっと嫌な方向で的中してしまった。その手には《ラッキー・ダーツ》も《ロジック・サークル》もない。
 さらに追い打ちをかけるようにあーくんの2t《検問の守り 輝羅》。この一手によって《煌銀河最終形態 ギラングレイル》が《ラッキー・ダーツ》の当たりから外れてしまった。

 それ以上にdottoは何も動けないまま……あーくんは《氷柱と炎弧の決断》、《T・T・T》で手札を整え、満を持して《“必駆”蛮触礼亞》《頂上混成 BAKUONSOOO8th》、さらに≪同期の妖精≫。
 とはいえ《検問の守り 輝羅》で自分のGR召喚まで止めてしまっているが……ここで革命チェンジ《音精 ラフルル》!!

この《音精 ラフルル》には「なるほどね」といった笑み。

 ≪星龍の暴発≫絡みの負け筋も全てケアしつつ、自分のGR召喚まで通す完璧なフィニッシュ。
 魔王dottoに《ラッキー・ダーツ》が微笑むことはなかった。

WINNER:あーくん

第6戦:るるる vs. りっきー

 さて、【ヒラメキウォズレック】同型を予想したるるるはその前提で立ち回るが……

驚きのあまりこっち見てる。

 なんと初手置き《頂上混成 BAKUONSOOO8th》。どうやら先ほどまでの我々の認識が違っていたらしい。
 「デッキ変えたでしょ!?」と思わず疑ってしまうるるる。先のゲームで負けが確定した段階でデッキをバラさないように立ち回っていたりっきーの上手さが光る。

 ……いや、そんな小細工などどうでもよくなるくらいに、後攻2ターン目のりっきーの動きが強烈すぎた。

あっち向いちゃった。

 デッキトップから「よし!」の声とともに駆けつけてきたのは、2マナ《ヘブンズ・フォース》!!
 効果で《終斗の閃き マトリクス》、その効果で《ヘブンズ・フォース》を撃ち直して《蒼狼の大王 イザナギテラス》、デッキトップから拾ったのは《転生プログラム》!!

 とはいえ「ここからなんだよな~…」と本人が呟いたことから、まだ確定でソリティアに入るわけではないらしいが……
 《蒼狼の大王 イザナギテラス》が捲れ、デッキトップ5枚から……迷いなく回収され、放たれる《ヒラメキ・プログラム》!!

「もう早いもん~!!」このターン、衝撃のあまりるるるは何度も体を傾ける。

 出てくるのはもちろん先のゲームで見えた《アーテル・ゴルギーニ》。破壊された《終斗の閃き マトリクス》が墓地から2体蘇生される。
 そこからは2種の「プログラム」呪文によってデッキがどんどん掘り進められ……気付けば《頂上混成 BAKUONSOOO8th》が到着、さらに《♪銀河の裁きに勝てるもの無し》経由で放たれた《緊急プレミアム殿堂》によってるるるのデッキが機能不全となり……。

最終盤面。こんなんなっちゃった…。

 後攻2ターン目、《緊急プレミアム殿堂》、《ジェイ-SHOCKER》でるるるのほぼ全てをロックした状態でこの過剰打点。
 こちらも新デッキ、【銀河転生】に《ヒラメキ・プログラム》《頂上混成 BAKUONSOOO8th》を組み込んだド迫力デッキが、後攻2ターン目にるるるを圧殺。

WINNER:りっきー

第7戦:ZweiLance vs. フェアリー

 デュエチューブリーグ、合計10節目にして……
 ついにこの2人が相まみえる。「フェアプロ」対決である。

かつて長年を共にした相棒。なんというか、しっとりした空気感がある。

 何の因果か……2人の使用デッキはどちらも【ダーツ】。
 当然長年続いてきたフェアプロの歴史。その中には【ダーツデリート】を取り扱った動画も存在する。

殿堂構築で勝ってたときのやつ。

 おそらく殿堂ゼロレギュレーションにおける対決はこれが初めて。
 まるでYouTubeの企画のようなマッチアップ、先攻を取ったのはZweiLance
 先攻1ターン目多色セット。それを見たフェアリーはすかさず《ラッキー・ダーツ》を放つ。

 これが、《ポジトロン・サイン》、《ホーガン・ブラスター》と連鎖し……。

「発射します!」冗談みたいなカード名だが、この試合を決着させるにはふさわしい。

 《侵略開始!! にゃんこ軍団/にゃんこ砲発射!》!!

 殿堂ゼロ【ダーツデリート】でしかお目にかかることのないこのカードのテキストを、フェアリーはまるでYouTubeチャンネルのようにはっきりとした声で全ての効果を読み上げ……ワールドブレイクをZweiLanceに叩きつける。
 このターンに決着がつくわけではないが、このワールドブレイクが決まってしまえば……ZweiLanceに《ラッキー・ダーツ》を撃つ術はない。

《煌銀河最終形態 ギラングレイル》ではできなかったかもしれない、謎の≪星龍の暴発≫ケア。

 このパンチが通り、ZweiLanceは先攻2ターン目のドローを待たずして投了。
 ……フェアプロinDTL、「運王」フェアリーの手によって後攻1ターン目にて決着。

WINNER:フェアリー

第8戦:おんそく vs. あーくん

 さて、後攻2キルだとか後攻1キルだとかが乱発して場が騒然としているのだが……
 おんそく操る【青緑ジャイアント】、あーくん操る【火光水BAKUONSOOO】のマッチアップ。今まで見ていたものだけが殿堂ゼロの全てというわけではないのだ。

 メタクリーチャーの出し合いによる、由緒正しき地上戦。
 これもまたひとつ、殿堂ゼロの醍醐味なのである。

 とはいえ、マッチアップとしてはややおんそく側に分があるか。まずは先攻2ターン目《キャディ・ビートル》スタートによってあーくんの《頂上混成 BAKUONSOOO8th》が咎められる。
 おそらく採用しているメタクリーチャーの通りが悪いであろうあーくんは≪同期の妖精≫。おんそくが《アシステスト・シネラリア》で手を進めると、あーくんは《金天使 エン・ゴルギーニ》を《キャディ・ビートル》下で使うことでマナ加速に成功するが、《アシステスト・シネラリア》の除去耐性まで得た《キャディ・ビートル》に対する対処が難しい。

 2回の《五番龍 レイクポーチャー ParZero》で手を進め…最強の加速要員たる、《ベイB ジャック》が5ターン目に登場。
 さらに《爆藍月 スケルハンター》+≪同期の妖精≫2枚。まるで《赤攻銀 マルハヴァン》を立てる【光自然メタリカ】のごとき展開で、あーくんを圧殺していく。

 が、「有利だとは思うが警戒しないといけないカードがある…」とおんそくが事前に懸念していたカードがあーくんの手にはあった。≪♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い≫!!

このターンで《ベイB ジャック》含む5面が一気に弾け飛ぶ。

 2コスト以下のエレメントを一掃するこのカードが強烈に突き刺さる。《ベイB ジャック》含む盤面が失われ、《キャディ・ビートル》をセイバーする形で《アシステスト・シネラリア》をも失い、タイミング的に≪ド浮きの動悸≫を撃つと相手の≪ド浮きの動悸≫を起動させてしまうためドローも失う……。
 結局バトルステップまで《キャディ・ビートル》を残し、≪同期の妖精≫に戦闘破壊させることで1ターンの遅延を得たが、その被害は甚大だ。

 とはいえ、おんそくもそれを織り込んでリソースを稼ぎ続けて展開を続けてきた。第二陣の準備は整っている。
 まずは《完璧妖精サエポヨX》、軽減が乗って《アシステスト・シネラリア》、さらに《爆藍月 スケルハンター》2枚目、そして《完璧妖精サエポヨX》のハイパーモードで先ほど戦闘破壊された《キャディ・ビートル》を復活。
 結局再びあーくんは《キャディ・ビートル》の脅威に晒され、その横に《爆藍月 スケルハンター》が増えたことから先ほどより強固な盤面が形成された。

 再びの脅威に晒されたあーくんだが、7マナに到達したその返し手も強烈なものとなった。
 まずは《“必駆”蛮触礼亞》⇒《頂上混成 BAKUONSOOO8th》を《キャディ・ビートル》の効果でマナブーストとして運用し……現代デュエマにおける地上戦最強カード、《飛翔龍 5000VT》!!
 これによっておんそくの展開は強烈に制限され、効果未達の《完璧妖精マリニャンX》を出すことしかできない……。

 ……しかし、これすらも想定内。《飛翔龍 5000VT》の範囲外に、《爆藍月 スケルハンター》が2体いる。
 事実上のエクストラターンを得たものの、あーくんにできることは≪同期の妖精≫を破壊しながらの《頂上混成 BAKUONSOOO8th》召喚のみ。これにより《完璧妖精マリニャンX》が返り、《飛翔龍 5000VT》のアタックには《五番龍 レイクポーチャー ParZero》でブロック……。

 そして、《飛翔龍 5000VT》の枷から抜け出したおんそくのターンだ。
 《アシステスト・シネラリア》《ベイB ジャック》がマナを供給し、《五番龍 レイクポーチャー ParZero》が手札を供給し、《とこしえの超人》+≪同期の妖精≫で《頂上混成 BAKUONSOOO8th》のGR召喚を封じつつ、盤面の《五番龍 レイクポーチャー ParZero》チェンジ《蒼き覚醒 ドギラゴンX》で《飛翔龍 5000VT》を戦闘破壊……。

全体除去2回を耐え切り、みたびこの盤面。

 2度の全体除去を喰らってなお、この横綱相撲である。
 もう1枚《飛翔龍 5000VT》があればまだ勝負はわからなかっただろうか……どちらにせよ、このターンドローソースをプレイすることしかできず、土俵際で踏ん張ったあーくんの粘りもここまで。

 先刻、《五番龍 レイクポーチャー ParZero》の効果で手札から見せられた《水上第九院 シャコガイル》が満を持して登場。《ベイB ジャック》下、2度の《五番龍 レイクポーチャー ParZero》が使いまわされれば、必然おんそくのデッキは5枚以下となる。
 事前予想にも名前が挙がらなかった殿堂ゼロ仕様【水自然ジャイアント】、圧巻の2-0。

WINNER:おんそく

第9戦:にわか vs. るるる

「2キルされてるからさァ~……優しくしてよ……」

 ここまでまるでデュエマをできていないるるる。第6戦の衝撃が未だに冷めやらぬようだ。
 とはいえ、今度こそ【ヒラメキウォズレック】同型……そしてじゃんけんに勝利さえしてしまえば、あとは殿堂ゼロ最強のデッキが抜群の安定感を以てキャリーしてくれる。その乗り手がるるるであれば猶更だ。

 お互いに《フェアリー・Re:ライフ》でマナを伸ばし合う展開。にわかにとっては次のターンが《蒼狼の大王 イザナギテラス》でも《奇天烈 シャッフ》でも大丈夫という展開だからこそ……あまりにもこの後手番が痛すぎた。
 先攻を取ったるるるの《蒼狼の大王 イザナギテラス》が、先に到着。

 【ヒラメキウォズレック】における《蒼狼の大王 イザナギテラス》召喚とは、イコール勝利なのである。

るるる「手震えてきた…めちゃくちゃやってるんだけどさ、緊張せん?こういうデッキ」
解説席のすけ「わかるなぁ~……」

 緊張していたと愚痴を零すが、そのやり込み度合いは流石ミスターデュエチューブリーグ。《アーテル・ゴルギーニ》を《ヒラメキ・プログラム》で残すor残さないの選択肢まで適切にこなし、最後の方はもうカードを見ていないのではないかという速度でループ証明まで手早く行う。
 先ほどは豪快な2キルに道を阻まれたが、当たり前のように先攻3キルを決めてしまう。これぞ【ヒラメキウォズレック】が殿堂ゼロのTier1たる所以である。

WINNER:るるる

出場選手、使用デッキ

FTG

フェアリー【デリート抜きダーツ】

あーくん【火光水BAKUONSOOO】

るるる【ヒラメキウォズレック】

魔王軍

セキボン【ヒラメキウォズレック】

dotto【ダーツデリート】

りっきー【銀河転生BAKUONSOOO】

SAGA

ZweiLance【ブレイン珊瑚ダーツ】

おんそく【水自然ジャックジャイアント】

にわか【ヒラメキウォズレック】

所感

第4節を終えての順位状況は以下の通り。

 SAGA、魔王軍を3タテして前期から数えてついに6節ぶりの勝ち越し。
 本音を言えば逆転優勝のために大きな勝ち越しを狙いたかったが、FTGに勝ちきれなかったのがやや痛かったか。
 SAGAに0-3となった魔王軍もギリギリで踏みとどまり、首位FTGとの差がそこまで離れずに済んだ。

 抜群の安定感とメタ耐性を持つTier1【ヒラメキウォズレック】、構築制限によって使わざるを得なかった【ダーツ】を各チームが採用。第3デッキはそれぞれチームの個性が出る形となった。
 とりわけ今節唯一2-0を達成したおんそくの【水自然ジャイアント】は今後の殿堂ゼロ環境でも引き続き注目していきたいデッキタイプ。
 1~2ターン目からメタクリーチャーを置きつつ、自分は環境内のメタカードに引っかかりにくい《ベイB ジャック》基盤の展開で圧殺する……無法地帯のような環境にフィットしたデッキを0⇒1ベースで作り上げたことが、後半戦に向けての起爆剤となるはずだ。

あとがき

 未開の環境に各チームが挑んだ今節……いち視聴者としてもある程度の事前準備はしてきたつもりだった。
 【ダーツ】を無理に複数持っていく必要はなく、シンプルに【ヒラメキウォズレック】が強いだろう……ここまでは各チーム、事前予想ともに辿り着く結論は同じだった。

 ここでまず取り上げたいのが、3チームがともに選出した【ヒラメキウォズレック】というデッキ―――このデッキを作り上げた殿堂ゼロ界隈の開拓者たち。
 当たり前のように《蒼狼の大王 イザナギテラス》を出すだけで3キルができるということ。旧来のソリティアデッキと違い《アーテル・ゴルギーニ》によってメタクリへの対処法があること。自らも《ベイB セガーレ》や《奇天烈 シャッフ》のようなメタカードを積めること。そんな先人が用意したとんでもないデッキを、各チーム使う側に回ったこと。
 1つの環境における文句なしのTier1デッキを作り上げることがいかに困難なことか、それも人口密度の少ない殿堂ゼロという環境で―――このデッキを作り上げた開拓者たちこそが、今回のDTL環境を作り上げたと言っても過言ではないのだ。

 だけれど、それだけじゃあ物足りないと感じるのがDTL選手のショーマンシップ。第3デッキに関しては各チームの個性が光る形となった。
 上述した【水自然ジャイアント】だけではなくりっきーの2キル【銀河転生】、あーくんの《検問の守り 輝羅》を絡めた構築……。
 それらが既存の王者たる【ダーツ】や【ヒラメキウォズレック】を圧殺する力を秘めていたことは、視聴者にとって驚きと共に迎えられたのではないだろうか。

 殿堂ゼロというだけでショーとして華やかなものだったが、そこに新デッキが登場したときの驚き、興奮―――それは間違いなく、シンプルに観戦者を熱狂させるものだった。
 どんな環境でも、まだまだ突き詰めれば新しく、強いデッキがたくさんある。デュエマが最もシンプルに面白く観戦できた―――そんな節だったと振り返られるだろう。

 次回は選手間で同名カードを4枚以上使ってはいけない―――緩めの構築制限がかけられた、ほぼガチンコのアドバンス。
 全チームが普段から取り組んでいるレギュレーションだからこそ、どこで差がつくのか……最もシンプルな実力勝負に向けて、各チームの準備はすでに始まっている。

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