大将に繋ぐため―――デュエチューブリーグ後期第6節、第1~3戦観戦記。

DTL

はしがき

 flat-の緊張が止まらない。
 新規勢への配慮もあるのだろうが、普段は15秒ほどで済ませる意気込みのパートを、今回は1分30秒もかけていた。その心拍数は110。通常の範囲(60~100)を超えている。

 後期最終節。最も注目されるのは、やはりリーダー戦。そして、そこまでにFTGと魔王軍の差がどのように変動するかだ。
 まずは、FTGがSAGAを迎え撃つ。

後期第6節ルール

「異次元の超獣使い」発売に伴うレギュレーション。
 一見厳しい構築制限に見えるが、通常構築戦でも使われている大量の再録カード、ライバーごとに設定された戦略が強力なことから、殿堂のオリジナルレギュレーションと遜色ないカードパワーで戦うことになる。
 最も難しいのはメタゲームの設定。未開のルールにおいて各チームがどこまで研究を進めているか、どのデッキを強いと見るか……こればかりは蓋を開けてみないとわからない。

 解説のすけ選手執筆の事前予想記事もチェック!

クイックカバレージ

第1戦:おんそく vs. 村井

おんそく、カメラに向かって鬼の威嚇。ジャオウガかな?
極限状態でもファンサービスを忘れない。

 首位・FTGを逆転するために1試合も落とせないTeam SAGA、先鋒はおんそく。気合十分に「人事を尽くして天命を待つ」と吼える。

 一方のFTGは首位だが、最後に待つリーダー戦が鬼門だ。ZweiLancedottoと揃う他チームに対し、FTGの楽屋ではオープニングを真っ白な唇でこなしたflatーが震えて待っている。“おんそくキラー”村井はリーダーの心を救えるのか。

 先攻の村井は初手を見て少し考えると《CRYMAX ジャオウガ》をチャージ。2023年下期ランキングにて全国大会の切符を手にした原動力。自慢の愛機【水闇自然ジャオウガ】を持ち込んできたようだ。

 対しておんそくは話題の新カード、《学識妖精サイクリル》をチャージ。村井が2ターン目をパスし、この試合最初のムーブはおんそくの≪天体妖精エスメル≫となった。

 村井の3ターン目《学識妖精サイクリル》で≪天体妖精エスメル≫は除去されるものの、おんそくは先に《キユリのASMラジオ》を唱えることに成功!……するのだが、めくれたのは≪ボン・キゴマイム≫と《キャディ・ビートル》。どちらも優秀なメタクリーチャーではあるものの、リソース拡大の目論見は外れてしまう。

 その様子を見ていた村井は考える。検討の末に出した答えは≪ボン・キゴマイム≫召喚。
互いの≪ボン・キゴマイム≫により、《キユリのASMラジオ》とフィニッシャー獣の双方を睨まれた盤面。

 おんそくはリソース供給に長けた《大地の精霊龍 ボンボヤージュ》を召喚、さらにG・ゼロ《ミラクルストップ》で呪文の制約をかけつつ≪ボン・キゴマイム≫攻撃時に《学識妖精サイクリル》を踏み倒し、村井に手札を与えながらもリソース拡大を図る。

 しかし返しの村井からついに真打ち、《アーテル・ゴルギーニ》が放たれる!

【光水自然メルヴェイユ】にはない対地上最強戦車でなけなしの《大地の精霊龍 ボンボヤージュ》をかち割られ、腹をくくったおんそく。≪天体妖精エスメル≫で自らのシールドを捲り、《聖霊龍王 メルヴェイユ》をマナに落としつつ横に《完璧妖精マリニャンX》を添え、ターンを渡す。

 村井はまず、《絶望と反魂と滅殺の決断》で《完璧妖精マリニャンX》を落とす。おんそくの盾は3枚、村井の場には4打点。ただ総攻撃に耐えれば《聖霊龍王 メルヴェイユ》召喚からの逆リーサルが見える場面。

 まずは≪ボン・キゴマイム≫から1点、そして《アーテル・ゴルギーニ》を横に倒し2点。

 おんそくに天命のシールド・トリガーはなく、村井が幸先よく今節の1勝目を挙げた。

WINNER:村井

第2戦:リキセキタクジン vs. るるる

 意気込みを聞かれたリキセキタクジンは一言チクリ。
るるる選手は手がびっしょびしょ」
「言わないでよ!!!!!」

 まず試合前インタビューに勝利したリキセキタクジンは続くじゃんけんにも勝利し、神速の2-0を決めてデュエマスタート。

 神速の男は、デュエマでも先2《チャラ・ルピア》のロケットスタート。
 動けないるるるを尻目に《天翼 クリティブ-1》を追加すると、《チャラ・ルピア》で盾を刻む。

「それマイケルの入れ知恵だろ!」
 そう、この試合の両名が選択した【火光ドギラゴン閃】は、SAGAのデッキビルダー・マイケルがかつて生み出した傑作デッキなのだ。

 るるるは相手のマナの多色により3マナの《偽りの希望 鬼丸「終斗」》で《天翼 クリティブ-1》を戦闘破壊するが、《偽りの希望 鬼丸「終斗」》もまた《天翼 クリティブ-1》のメタ効果でデッキボトムへと送られる。
 返すリキセキタクジン、《チャラ・ルピア》の軽減を受け4マナで《偽りの希望 鬼丸「終斗」》を召喚、そのまま《蒼き守護神 ドギラゴン閃》に革命チェンジ。ファイナル革命こそ外すが、《チャラ・ルピア》と合わせるるるの盾を削り切った。

 絶体絶命のるるるは《ボルバディ・ルピア》、《偽りの希望 鬼丸「終斗」》と出し《チャラ・ルピア》を破壊しながら《蒼き守護神 ドギラゴン閃》へ。山からは2羽の《チャラ・ルピア》が駆けつけ、リキセキタクジンの盾を3枚削る。

 盾と合わせ都合4枚の手札補給を受けたリキセキタクジンだが、「何でも勝ってるのに、マジか…」と頭を抱えてしまう。るるるは苦しい展開ながら、多色を一切マナに置かず《偽りの希望 鬼丸「終斗」》のケアに成功していたのだ。

 ミスターDTLの意地に苦しむリキセキタクジンは決死のチェンジ《ボルメテウス・レインボー・ドラゴン》、捲った盾は……

厳しいケアに晒された《偽りの希望 鬼丸「終斗」》をシールドから。リキセキタクジンは思わず立ち上がる。

《偽りの希望 鬼丸「終斗」》!

 加賀美ハヤトの相棒を誰よりも早く輝かせたリキセキタクジンが、SAGAの襷をつないだ。

WINNER:リキセキタクジン

第3戦:にわか vs. フェアリー

「デュエマ代表のヘルエスタ王国民として、負けるわけにはいかない」と語るにわか。プレイヤーが相棒としてデッキを選ぶ時、そこには物語だけでなく、自身の誇りと自己表現もある。

 序盤は互いに3ターン目≪ギャラクシー・チャージャー≫からスタート。

 4ターン目から両者のプレイは分岐が生まれ、フェアリーは「異次元の超獣使い」から登場した新規カードである、《審罰の精霊 ロイヤル・パニッシャー》を送り出していつでも《ヘブンズ・ゲート》を使える状態にし、盤面を築き上げる体制を取った。
 それに対して、にわかはもう一度≪ギャラクシー・チャージャー≫と≪サイレンス・チャージャー≫のチャージャー呪文2連打でリソースを整えていく。

 そしてフェアリーの5ターン目。追加の《審罰の精霊 ロイヤル・パニッシャー》を送り出し、ビッグアクションを繰り出す。

 ターン終了時に2体の《審罰の精霊 ロイヤル・パニッシャー》の効果を使い、1枚目で《理想と平和の決断》を唱えて、《ヘブンズ・ゲート》用の手札を補充したのちに、満を持しての《ヘブンズ・ゲート》。3体目の《審罰の精霊 ロイヤル・パニッシャー》と《冥界を統べる新月のハーデス》を場へ。

 これは先のターンでにわかが唱えた≪ギャラクシー・チャージャー≫で大量展開に対するカウンターカードである、《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》が見えたことで、「にわかの手札に同じカードがある可能性は低い」と決めてのプレイだったのだろう。

 だが、にわかはカウンターとして手札からあるカードを場に送り出した。そのカードはもちろん≪ブルー・インパルス ≫。

≪ブルー・インパルス≫着地を粛々と受け入れたフェアリー。あるいは「ここまでは」想定内か。

 そして返しのにわかのターン。《ヘブンズ・ゲート》から場に送り出されたエンジェル・コマンドは、自身の慕っているヘルエスタ王国の第二皇女が操る《審判の精霊ラストジャッジ》と、光文明を代表するDreamクリーチャーであり、相手の呪文を封殺する《聖霊超王 H・アルカディアス》。
 フェアリーの盤面は≪「真実を見極めよ、ジョニー!」≫で全て洗い流されてしまう。

 結果としてこのターンが分水嶺となり、最後はにわかの《審判の精霊ラストジャッジ》の終極宣言によって展開大量されたブロッカーがにわかに勝利をもたらすこととなった。

WINNER:にわか

クレジット
編集部T:第1、2戦カバレージ
フェイ:第3戦カバレージ

コメント

タイトルとURLをコピーしました